国内

シニアの同窓会 行かない派は「昔振り返るだけ」

シニア同窓会が盛況の一方「行かない」という意見も(写真/アフロ)

 近頃、とくにシニア世代の間で需要が高まっているという同窓会。同窓会の幹事を代行している『笑屋』の取締役・八木誠さんによると、東日本大震災の翌年あたりから徐々に同窓会熱が高まり始めているとのこと。また、旅行サイト『ゆこゆこ』が行ったアンケート結果によると、1年以内に同窓会に参加した」と答えた人は50代が24.8%であるのに比べ、70代以上は62.2%だったという。

 しかし、一方で同窓会に参加しない人も多い。美容家の佐伯チズさん(73才)もその1人だった。

「私の出身の滋賀県では、『初老会』といって、男性の厄年の42才を節目に、同級生で神社に集まる同窓会があるんです。正直、当時は仕事や趣味に夢中だったから興味がなかったけれど、その時はすでに亡くなっていた主人が生きていた頃に招待状が来ていて、『行って来たら?』と言われたことが頭に残っていたから出席を決めたんです」

 雪の降るお正月に開催された『初老会』は、とにかくみんなしゃべり通しだったという。

「みんな、ごはんを食べるよりしゃべることが多いわけ。『結婚はいつしたの?』『子供は?』とかまるで身辺調査みたいに聞かれるんです。かと思えば、『息子が○○学校へ行って』『あのダンナはお偉いさんになったのよ』とか近況報告に絡めて見栄を張り始める。面倒になって会の途中で『主人が亡くなったあとだし、そんなん話をしている暇がないからちょっと帰るわね』って言って帰ってから、60才になるまでほとんど参加しませんでした」

 20年弱の時を経て60才で“復帰”したきっかけは、定年退職して本を出版した時に開いたパーティーに同級生が来てくれたことだった。

「久しぶりに出た同窓会で、すごく素敵な出会いがあったんです。小学校の頃に仲がよかった女友達2人と再会して、『三ババ会』というのを結成したんです。話すことは『あなたやせすぎじゃない?』とか『ドッジボールやったとき、ちいちゃん、男の子泣かせてたわよねえ』とかたわいもないことなんだけれど、すごく楽しい。再会してから旅行に行ったりもするほど仲のいい『心の友』になったけれど、同窓会がなければ連絡を取ってみようとすら思わなかったと思います」

 意地の張り合いから降りて、徐々に肩の荷を下ろす60代。女優の吉沢京子(62才)は言う。

「もはや、同窓会恋愛というのもないですね(笑い)。当時好きだった人は、残念ながら来ないんです。でも、それでよかったのかもしれない。今は当時の話を思い出したり、介護している人の話を聞いて、ああそうか、ひとりで悩まなくてもいいんだって思います。積極的に話さなくても、ただ聞くだけで、みんな同じだとわかって楽になります。恋愛とは違うけれど、思わぬ出会いもあるんですよ。昔はいじわるだと思っていた子が、実は仲よくなりたいと思っていたとわかったりとか、意外な人が舞台に興味を持ってくれていたりとか」

 赤ちゃんに還るという“還暦”に、人生の大きなターニングポイントを迎える人も多い。定年退職して自分は“終わった人”と開き直って楽しむ人もいれば受け入れられない人もいて、一方で再就職して現役続行の人もいる。いまだ自分の身に起こる老いを受け入れきれず「行けない」「行きたくない」という人もいる。

 ある60代の男性は「私も、一度も同窓会に行っていないし、行きたいとも思わない」と言う。

「第一、学校にいい思い出がないし、行ったって昔を振り返るだけでしょ。同窓会で昔を懐かしむって、未来の方を向いていないというか、老人になったなあという感じがするんですよ」

 親の介護が深刻化するのもこの頃。そんな時、昔を知っているという事実は、シビアな現実にも土足で踏みこんでもいいという“通行手形”になる。

「年賀状に紛れて、小学校の同窓会の招待状が届きました。最近、頻繁に開かれるんですよ。でも私には義理の母と実の母両方の介護があるし、会費も気になります。夕方早めのスタートで、夜遅くまで続く。1次会のホテルで1万円。2次会のバーで5000円。3次会のカラオケで3000円。共働きなら出せるかもしれないけれど、専業主婦だと厳しいです」(60才女性)

 同級生という一見近く思える存在だからこそ、「老人ホームに入れたら?」などと気軽なアドバイスをされて複雑な思いを抱く人もいる。

 あの頃に共有した思い出は一緒でも、今の生活状況は違う。老後破産や下流老人という言葉をとても聞き流せない日常を送る人にとって同窓会は迷惑千万以外の何ものでもない。とくに還暦など節目の同窓会は記念品をつけようと幹事が張り切り、予算がかさみがちになる。前出・『笑屋』の調査では、還暦同窓会の予算は1人8000~3万円だという。

 作家・伊集院静さん(66才)は『週刊文春』の連載「悩むが花」で、同窓会への参加を悩む女性から「先生は同窓会に行っていますか?」と質問が寄せられた際、「行かないナ」とばっさり。

「何の為に同窓会するのか、わしはさっぱりわからんナ。毎日、忙しくて、何かを懐かしんどる発想が湧かんのだろうナ」

 前出『笑屋』の八木さんが言う。

「同窓会と聞いて『あら、行こうかしら』『服を買わなきゃ』とモチベーションが上がる女性に対し、男性は『おれ、そういうのはいいや』となりがちです。実際の参加者も年代を問わず女性のほうが多いし、幹事も女性が多い。2014年に男女比の統計をとったところ、女性54%、男性46%でした」

※女性セブン2017年1月26日号

トピックス

本格的に中国進出をめざすならば…(時事通信フォト)
《年内結婚報道》橋本環奈と中川大志の「結婚生活」に立ちはだかる“1万kmの距離” 2人の異なる“海外進出の希望先”
週刊ポスト
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン