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【著者に訊け】三羽省吾氏 青春小説『ヘダップ!』

三羽省吾氏が新刊『ヘダップ!』を語る

【著者に訊け】三羽省吾氏/『ヘダップ!』/新潮社/1600円+税

 2002年のデビュー作『太陽がイッパイいっぱい』は、ナニワのガテン系青春小説。『厭世フレーバー』は家族小説で、『イレギュラー』は野球小説と、ジャンル分けは一応できる。それでいて三羽省吾作品はもっと別の何かを掴みとろうとするような切実を感じさせる。

 最新作『ヘダップ!』は北関東の峰山南高を卒業後、中部地方のJFLチーム〈武山FC〉に入団した〈桐山勇〉18歳を軸にしたサッカー小説。JFL=日本フットボールリーグはJリーグと違ってプロ化を前提とせず、かといって完全なアマでもない16のクラブで構成される。

 高校時代は名FWで鳴らし、紆余曲折あって武山FCに入った勇も、地元スーパーで働く傍ら練習に励む毎日だ。突然のボランチ転向や、慣れない土地での生活に揺れまくる勇には実は誰にも言えない過去があった。キーワードはそう、〈握り飯〉だ。

「僕は元々サッカー不毛の地・岡山出身。今でこそファジアーノ岡山がJ2で頑張っていますが、本格的に観戦し始めたのはJリーグができた頃からでした。

 そんな中でJFLの存在も知り、プロもアマもいるリーグのモチベーションというのがどんなものか、まずはそこに興味を持ちました。しかも本書の準備を始めた頃、東日本大震災があって、ソニー仙台が甚大な被害を受けたんです。ただその分、声援は熱く、『JFLっていいなあ』と感動したことが、本書を書いた一番の動機かもしれません」

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