ライフ

頭部940万円、全身1760万円 人体冷凍保存で未来蘇生目指す

アルコー延命財団のタンクには数多くの人体が Reuters/AFLO

「現在の医療技術では治せない病気も、治せるようになる日が来るはず」──未来にそんな希望を託す「人体冷凍保存(クライオニクス)」が注目されている。少しずつ利用者を増やしている冷凍保存の実態に迫った。

 登録会員が亡くなると、遺体引き取りチームが急行し、遺体を冷却しながら拠点に搬送する。そして、遺体の大腿部付け根の大動脈から不凍液を流し込んで血液と入れ替える。血液(水分)を凍結・解凍すると、氷の結晶が細胞を破壊するため、不凍液に入れ替えるのだという。

 その後、全身保存の場合は液体窒素を充たした金属製容器に遺体を入れる。頭部保存の場合は頭部を切断して液体窒素に沈める。目覚めるのは、50年後か200年後か。

 人体冷凍保存(クライオニクス)は、遺体をマイナス196℃まで冷やし、医療の発達した未来で適切な処置をして蘇らせようとする極低温保存技術だ。

 まるでSF映画のような話だが、すでにアメリカのアルコー延命財団とクライオニクス研究所、ロシア・クリオロス社で人体冷凍保存サービスが始められている。推計で世界には現在200体以上が保存されている。

 アルコーの場合、全身を保存する方法と頭部のみを保存する方法の2通りある。費用は、全身で約15万ドル(約1760万円)、頭部のみで約8万ドル(約940万円)だ。その半分は財団の基金に回り、その運用益は保存された遺体の維持管理費に充てられている。米・大リーグの名選手テッド・ウィリアムズの遺体もアルコーで保存されている。

 登録会員には、がんや難病の患者のほか、「遠い未来を自分の目で見たい」という人もいるという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
左が金井正彰・外務省アジア大洋州局長、右が劉勁松・中国外務省アジア局長。劉氏はポケットに両手を入れたまま(AFP=時事)
《“両手ポケット”に日本が頭を下げる?》中国外務省局長の“優位強調”写真が拡散 プロパガンダの狙いと日本が“情報戦”でダメージを受けないために現場でやるべきだったことを臨床心理士が分析
NEWSポストセブン
ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン