「オバマ氏はホテルの大型スクリーンに、ホワイトハウスの上にトランプタワーが乗っかったけばけばしい『トランプのホワイトハウス』の合成写真を写し出し、参加者はそれに大笑いした。トランプ氏はこのとき、『大統領選に勝ってオバマを見返してやる』と決意したと言われています」(同前)
逆に言えば、オバマ氏への復讐という目標が達成された今、トランプ氏が大統領の座に固執する必要は皆無ということになる。共和党関係者が驚きのシナリオを明かす。
「党内ではすでにトランプが早々に大統領を放り出した場合のシミュレーションが行なわれている。
その場合はマイク・ペンス副大統領が昇格し、トランプの娘婿のクシュナー上級顧問らトランプ側近に代わって共和党本流のスタッフがホワイトハウス入りする展開になる。共和党内にもそれを願っている者が大勢いる」
そのシナリオを最も強く望んでいるのは、米経済界かもしれない。
「トランプ氏は“経済のプロ”を自任しながら、経済学における『比較優位』すら理解していない可能性があります。各国がそれぞれ輸出競争力の高い分野に生産をシフトすると、全体の生産性が上がり、お互いの富が増すというのが比較優位。
しかしトランプ氏はその逆をやろうとしている。輸出競争力の低いアメリカの自動車を守るために保護主義を取れば、他国もアメリカからの輸入に制限をかける。そうすればアメリカの生産力は結果として低下する。就任前こそトランプバブルを歓迎したウォール街だが、早晩の行き詰まりを懸念する声が強まっている」(相沢幸悦・埼玉学園大学経済経営学部教授)
1年も待ってられないか。
※週刊ポスト2017年2月3日号