日本と韓国は2015年12月28日に慰安婦問題を巡る「日韓合意」を結んだ。韓国が設立した元慰安婦支援のための「和解・癒やし財団」に日本が10億円拠出すること(履行済み)、韓国はソウルの日本大使館前の慰安婦像を撤去するよう努力することなどが盛り込まれた。
だが、その「最終的かつ不可逆的」な合意を踏みにじるように、昨年12月30日に釜山の日本領事館前に新たな慰安婦像が設置された。
これに対し、日本政府は今年1月6日、駐韓大使と釜山総領事の一時帰国や日韓通貨スワップ協議の中断などの対抗措置を発表した。元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏が解説する。
「日韓通貨スワップ協定は、一方の国が通貨危機に陥った際に、他方がドルを融通するというもので、過去に何度も通貨危機に直面している韓国側のメリットが大きい。合意を誠実に履行しない国と協定が結べないのは当然のことでしょう」
ところが、そのことについて閔氏に問うと、こんなふうに答えるのだ。
「日韓は経済的に密接な関係にある。経済のことはその枠の中で進めていくべきであって、それを他の問題と一緒にすべきではない」
つまり、慰安婦像は設置するが、日本からの経済支援は受け続けるのが当然という言い分なのだ。
※週刊ポスト2017年2月3日号