繊細な制御が必要とされる自動運転車は、EVでなければ実現が難しい。ところが、トヨタはこれまで「本命は燃料電池車(FCV)」として、EVを開発してこなかった。
開発陣からの突き上げでもあったのか、ようやく重い腰を上げたが、EV事業は例のない4人のメンバーでスタートするという。トヨタは出遅れたEV事業でどのような巻き返しを図るのであろうか。
人口が減っていく日本で車市場が縮小していくのは確実だ。そこへ“黒船”が襲来すれば、赤字転落する自動車メーカーも現れる。
そんなとき、グーグルやアップルから「50万台つくってくれ」と発注されたら、果たして断れるだろうか。
トヨタとて赤字となれば例外ではない。メンツを保つため、系列のダイハツに作らせるかもしれないが、一度、下請けの地位になれば、以前の独立メーカーに戻るのは難しくなるだろう。巨人トヨタといえども油断は禁物だ。
●わだ・けんいちろう/福井県出身。日本電動化研究所代表取締役。三菱自動車時代に電気自動車「i-MiEV」の開発プロジェクトマネージャーを務め、EV充電インフラビジネスを牽引した。2013年3月に退社し、電動化コンサルティング事業を開始。一般社団法人自動車100年塾の代表理事も務める。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版刊)がある。
※SAPIO2017年2月号