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脳梗塞に夢の新薬「SB623」 早ければ2019年中にも実用化

患者の負担軽減が期待される(写真:アフロ)

 日本の再生医療ベンチャー、サンバイオが開発する再生細胞薬「SB623」は、一度損なわれた脳機能は回復しないとする定説を覆す「夢の新薬」である。昨年から日本で治験がスタートした。

 製造過程は以下の通り。まず一人の健康なドナーの骨髄液から、多様な細胞に分化する能力を持つ「間葉系幹細胞」を採取する。これを加工・培養して製品化し、脳内に生じた患部の周辺に直接注射すると、脳の「再生」が見込める。

 夢の再生細胞薬には様々な魅力がある。

 まずコスト面。細胞移植には、患者本人の細胞を利用する「自家移植」と、他人の細胞を移植する「他家移植」があるが、SB623を用いた移植は後者だ。

「自家移植は細胞の処理に時間がかかり、費用が高額になります。一方、他家移植は量産化できるので製造コストが下がり、価格が安くなります」(東京大学医学部附属病院脳神経外科の今井英明特任教授)

 副作用の懸念も少ない。通常、他家移植では免疫系による拒絶反応を防ぐため、免疫抑制剤を使用する。これにより、体内の抵抗力が弱まり感染症などを引き起こすリスクが増すが、「SB623は自ら免疫応答を抑制する働きがあり、免疫抑制剤は不要」(今井氏)という。

 脳の神経細胞を活性化するため、対象疾患は脳梗塞に限らず、“応用範囲”が広くなる可能性もある。

「将来的にはパーキンソン病やアルツハイマー病など、認知症関連の疾患にも適用が期待できます」(今井氏)

 また、凍結して病院に保存すれば、急患が運ばれてきた場合に融解してすぐ使用できる。再生細胞薬の注入には安全性の確立した「定位脳手術」(*)を行うため身体への負担が少なく、米国の治験では手術翌日に退院する患者もいた。

【*頭蓋骨に直径1㎝程度の穴を開け、脳の深い場所にある目的部位の手術・治療を行う方法】

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