作家の井沢元彦氏


井沢:どうして二刀流は成功すると思ったんですか?

栗山:彼が高校2年の時に初めてピッチングを見たんですけど、ネット裏からボールの球筋や角度を見たときに、絶対この子は世界一のピッチャーになると感じました。その後、甲子園で「バッター大谷」を見たときは、レフトライナーがあわやホームランというフェンス直撃の一打を目の当たりにして、プロでも二刀流でやれると確信しました。それと、あんなすごい選手を僕ごときがどっちかに決めちゃいけないなと思ったんです。

井沢:謙虚ですね。

栗山:幸いなことに、翔平はとても“出たがり”なんです。シーズン終盤に、次の日に彼が先発で勝たなきゃいけないという状況でも、コーチを通じて「バッターとして出たい」って文句を言ってくる。僕は「体力のことも考えて、もっと出たいんだったらどうすればいいか考えなさい」と諭すと、翔平は自分で考えて新しい答えを出してくる。

井沢:そういう意味でも大した選手ですね。ちなみに私生活にはどれだけ口を出すんですか? 悪い女に引っかかって良い選手がダメになるっていう例もあるじゃないですか。

栗山:今の選手は稼げるので余計、人が集まるから心配はしています。翔平には「2人分やるんだから、遊ぶなとは言わないけどやるべきことだけはちゃんとやりなさい」と言っています。

 去年、翔平はゲスト審査員として紅白歌合戦に出ましたけど、球団を通じて出演を打診されたときに彼が言ったのが、「練習場を確保してくれるなら出ます」と。大晦日と元日は寮が閉まっちゃうから、トレーニングする場を確保してほしいと。

井沢:すごいですね。二刀流で知られる宮本武蔵は剣術家として一流でしたが、画家としても一流で国宝級の絵をいっぱい描いている。だから「武蔵は2人いた説」というのがあるくらいなんですが、大谷翔平は武蔵に匹敵する万能のスーパーマンですね。

※週刊ポスト2017年2月10日号

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