◆動画再生回数が500万回を超えた
そんな永井は、異色の経歴を持つ。子供の頃から漫画が好きで、時間があれば自由帳にキャラクターを一生懸命描いていた。だが、絵はあくまで趣味であって、高校、大学は美術と関係ない道を歩む。本格的に絵を始めたのは、7年前に大学を中退してからだった。
「大学を辞めてアルバイトをしていましたが、好きだった絵を仕事にしようと思い立ち、普通の鉛筆画を描き始めました。でも、無名の人間が作品を持ち込んでも、なかなか見てもらえない。ちょうどその頃、ユーチューブやツイッターなどのSNSに勢いが出てきて、無料でネットに公開すれば、人目に留まるのではないかと思ったんです」
だが、動画をアップしても、最初の1年はほとんど反応がなかった。絵が上手い人は世の中にいくらでもいる。絵に付加価値が必要だと考えた永井は、あることを思いつく。
「いつものように絵を撮ろうとカメラを覗いていたら、角度によって作品が浮き上がることに気付きました。現実には存在しないキャラクターが、紙を飛び出して見えたら面白いと考えたのがきっかけです」
2012年、3Dアートの制作過程を撮影した動画をユーチューブにアップするや、たちどころに大きな話題となった。公式動画再生回数、じつに500万回超。永井の名は瞬く間に“拡散”していった。2014年には映画『アメイジング・スパイダーマン2』の広告作品を制作。以後、全国各地で展示会が開催されるようになった。