活動の幅は広がり、昨年は絵本『とびだす! 3Dアートえほん ひみつのちかしつ』を出版した。現在はポストカードの制作に取り組む一方、次作の画集の構想を練る。そんな永井にとって、一番楽しい仕事は展示会だ。
「3Dアートは動画や写真を通しても楽しめるのですが、実物の作品を見て絵が浮き上がる仕組みを体験してほしい。展示作品は撮影できるので、『夢中で撮影していたらスマホの充電が切れてしまった』という話を聞くと、本当に嬉しいですね。作品制作は、これだけやれば終わりという上限がありません。だからこそ、よりクオリティが高いものを作る努力を、これからもずっと続けていきたいですね」
それにしても一人孤独な制作の日々。行き詰まったり、逃げ出したくなることはないのだろうか。
「周りからすればしんどいように見えるけれど、それがまた面白いんです。同い年の友だちは『好きなことを仕事にしていいよな』と言いますが、まさにその通り(笑い)。辛くても好きだから踏ん張れるんです」
世界が注目する「3Dエンピツ画家」の摩訶不思議な世界をご覧いただきたい。
●永井秀幸(ながい・ひでゆき)/1991年生まれ。和歌山県出身。2010年、大学中退後、公式HPを立ち上げ、2012年にスケッチブック2枚を立てかけた時の角度と錯覚を利用した3Dアートの制作を開始。米国や英国、中国など、海外でも紹介され注目を集める。
「ZENT ART MUSEUM」(愛知・名古屋)にて『永井秀幸 3Dアートと絵本原画展─ひみつのちかしつ─』開催中(~3月20日)。第21回『NHKハート展』(「岐阜展」ぎふ清流文化プラザ、2月11日~3月3日)に参加
https://nagaihideyukiart.jimdo.com/
●取材・文/戸田梨恵 撮影/内海裕之
※週刊ポスト2017年2月17日号