「乳がん患者さんに対する臨床研究で、オキシドールと粘着性のあるヒアルロン酸を混ぜた薬剤を注射した後に、放射線を照射しました。I、II期乳がん70例では、69例で手術せず、KORTUCで、がんは消滅し、患者さんの5年生存率も100%と極めて良好でした。また、進行乳がんの患者さんも抗がん剤併用で手術することもなく、良好な治療効果を得られています」(小川院長)
この治療は現在、高知大学や大阪医科大学、長崎県島原病院、東京放射線クリニック、神戸低侵襲がん医療センターなどで、700症例以上に実施され、乳がんだけでなく、膵がんなどでも効果を上げている。
今年はロンドンの王立マースデン病院でも、公的保険適用に向けた治験が実施予定だ。
日本では薬剤原料の価格が安いため製薬会社が薬剤開発に積極的ではない。日本発の安価で安全な、がん治療としての保険承認が待たれる。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年2月24日号