近年、環境保護運動に注力する新宗教団体「生長の家」。昨年の参院選では安保法制にともなう憲法解釈の変更、原発政策を巡り「与党とその候補を支持しない」方針を打ち出した。谷口雅宣・生長の家総裁(65)に、ジャーナリストの小川寛大氏が、原宿から富士山麓へ本部を移転した理由、宗教離れが進む日本と教団について聞いた。
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山梨県北杜市。富士山麓、 標高1320mの森の中に「生長の家」国際本部はある。東京・原宿からこの地に教団本部の機能を移転したのは2013年のこと。約2万坪の敷地に並ぶログハウス風の建物すべてに太陽光パネルが設置され、木材チップを使ったバイオマスとの併用で、教団施設で使用する電力の大半を賄う。谷口雅宣総裁は、教団の理念として「脱原発」「自然との共生」を前面に打ち出している。
──本部移転の理由は何か。
谷口:われわれは、現代人の“都市化”した生活に、非常に危ういものを感じています。あふれるモノに囲まれ、ネットやスマホから洪水のように流れてくる情報に振り回されている。欲望は留まるところを知らず、『人間とは何なのか』を考える余裕もない。
東日本大震災は、そのことを日本人に教えてくれる契機となりました。原子力発電所という、人間が制御できないほどの危険なものを、都市生活を成り立たせるために使っていた。しかもそれは首都圏の電力を賄うために、東北地方に建設されていた。人間は、このままの都市生活を送っていくべきなのか。これ以上、都市化と本来の人間生活は共存しえない段階に来ているのではないか。生長の家としては今後、そういうことを考え、訴えていきたい。