国際情報

モンゴル、中国の圧力でダライ・ラマの再訪認めず

ダライ・ラマ問題には神経を尖らせる中国

 中国とモンゴルの外相会談が北京で行われ、昨年11月のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世のモンゴル訪問以来、悪化していた両国関係を再出発し、これまで中断していた通貨スワップ協定の延長交渉を再開し、中国側は延長に合意したことが分かった。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「他維新聞網」が報じた。

 この理由について、王毅中国外相は「中国の核心的利益を尊重することで、モンゴル側から理解を得られた」と語っており、モンゴルは中国の圧力に屈し、「今後、ダライ・ラマのモンゴル訪問を認めない」と言明したという。

 ネット上では、「宗教よりもカネを優先したということ。中国の金銭外交に負けたということだ」との書き込みがみられる。

 外相会談ではモンゴルのムンフオリギル外相が国際通貨基金(IMF)から総額55億ドル(約6200億円)の国際支援を受けることが決まっており、そのなかに中国からの通貨スワップ協定分の150億元(約2500億円)を盛り込むよう中国側に要請した。

 両国は2014年8月、今年8月に期限が切れる同額分の通貨スワップ協定を締結しており、モンゴルとしては今後3年間これを延長するよう中国側に求めたものだ。モンゴルは150億元分の人民元を最大の貿易相手である中国との決済に使えるため、ドル建ての外貨準備を温存できるというメリットがある。

 すでに、両国間では延長交渉を昨年から行っており、ほぼ合意していたものの、モンゴル側が昨年11月、中国側の反対を押し切って、ダライ・ラマのモンゴル訪問を認めたことから、中国側が硬化し、中国の対モンゴル支援策が白紙状態になっていた。

 これに対して、経済危機に陥っているモンゴル政府はIMFに総額55億ドルの国際支援を求めたもので、このなかに、中国のスワップ協定分を含めることが条件となっていた。

 これに対して、他維新聞網の書き込み欄には「金銭外交でモンゴルを内部分裂させた。中国外交の本領発揮だ。中国が最大の投資国だけに、貧困国のモンゴルはひとたまりもない」などとのコメントが見られる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン