緑内障と診断されれば治療を開始することになる。初期の緑内障患者には点眼剤や薬で様子を見るのが日本では一般的だが、進行を抑制しきれないケースが少なくない。その場合、レーザーを用いた治療を行なうことが多い。
「強角膜輪部の内側にある『線維柱帯』という場所にレーザーを照射することで、眼球内の水を外に逃がし、眼圧を下げる。これが『SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)』です。
しかし、SLTを行なっても、眼圧が下がる患者と下がらない患者がいる。そのため、眼圧がやや高めの患者に初期治療として試してみるケースは多いものの、末期など、すでに症状が進行している患者には適切ではないというのが眼科医の常識です」
川崎市に住むAさん(70代男性)が体験を語る。
「10年前に市内の病院で緑内障と診断されてSLTを受けたが、眼圧が思うように下がらなかった。医師からは『治療の効果は人によって異なる』といわれ、その後に点眼治療を勧められた。
その後、医師にいわれるまま10年間目薬を使い続けたのが、最近になってものが見えにくくなってきたので、別の眼科で検査したところ『末期の緑内障』と診断された。その後、『濾過手術』という外科手術を受けて何とか失明は免れました。『最初の病院の治療は何だったのか』と憤りを感じています」