◆「再手術」を怖れるな

 Aさんの受けた「濾過手術」は、深作医師が推奨する治療法でもある。これは、白目の強膜に穴をあけて眼球内に水の新たな通り道を作り、眼圧を下げるものだ。

「現在の緑内障治療の世界標準は、『濾過手術』の一種である『トラベクレクトミー』(線維柱体切除術)です。

 この手術は、技術が足りないと眼圧を下げすぎてしまい、脈絡膜剥離などを引き起こすリスクがある。手術の成否は執刀医の技術や経験に大きく左右されますが、眼圧を下げる効果が最も大きい手術の一つです」

 このような進行を抑制する効果の高い手術があるにもかかわらず、なぜ、日本の眼科ではレーザー治療ばかりが行なわれるのか。その背景には「技術とカネ」の問題がある。日本には手術を行なわず検査代や薬の処方箋代、メガネやコンタクトレンズの処方で成り立つ医院も少なくない。

「緑内障に限らず、目の外科手術は感染症などのリスクが高い。そのため、経験不足で、手術に自信のない医師ほどリスクが少なく簡単なレーザー治療を選ぶケースが目立つ。

 しかも、日本の保険制度では、効果の高い外科手術よりも、レーザーのほうが費用対効果がいい。手術の場合は複数の看護師が必要になるが、レーザーなら医師一人でもできる。そのうえ、施術時間は4分の1程度で済むので、人件費もかからず、結果的に収入に繋がりやすい」

 これらの手術は進行を止めるだけで、視野が元通りになるわけではない。

「効果が出やすいといわれる濾過手術の場合ですら、どんなに技術のある眼科医が手術しても3割程度の患者は約5年で再手術が必要になる。しかし、手遅れの状態にならなければ、複数回の再手術は可能です。何度も目にメスを入れることに抵抗はあると思いますが、過度に恐れるべきではない」

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