国内

安倍首相 国会答弁での印象操作返しのワザはイマイチ不発?

 経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、国会での追及に四苦八苦する安倍首相を分析。

 * * *
 大阪市の学校法人「森友学園」問題で、安倍晋三首相が答弁に追われている。あまりにも低い価格で払い下げられた国有地、そこに建設中の小学校の名誉校長としてHPに載っていたのは安倍昭恵首相夫人。自由党の山本太郎議員に、「アッキード事件」と名付けられたこの問題だが、安倍首相は「自分も妻も関与なし」と否定する。

 この問題の答弁で度々口にするのが「印象操作」「イメージ操作」という言葉だ。自分や妻が、さも国有地払い下げに関わっているようなレッテルや印象を、質問者が与えているという。

 心理学者のシュレンカーとウェイゴールドは「印象操作」を、「現実の、あるいは想像上の他者に対して情報を調整する活動」としている。他の定義も合わせて簡単にまとめると、「自分を意図的にどう見せるか」であり、「他人に与える印象をコントロールしようとする試み」、ということになる。

 他人によく見せたい、よく見られたいというのは、誰にでもあるものだが、総理ともなれば、イメージの良し悪しはそのまま内閣支持率に直結するから、気を使うのはわかる。

 自分たちに疑惑の目が向けられ憤る安倍首相だが、今回ばかりは、これまで確立してきたイメージが崩れかねない、そんな危機感を持っているのかもしれない。

 というのも、印象を形成しようという動機付けが高く、印象操作の成功確率が低く見積もられているほど対人不安を強く感じると、シュレンカーとリアリィが示しているからだ。理想的な首相のイメージを維持するのが難しくなっている…そんな不安や恐れが、印象操作を訴える理由ではないのだろうか。

 だが本当に印象操作されているのかというと、衆議院・参議院の予算委員会で行われた質疑応答を見ても、そこまでひどい感じはない。逆に質問の流れを受け、首相が自分から印象の悪い言葉を使う時さえある。

 HPの名誉校長削除の件では、質問した民進党の今井雅人議員に「隠ぺい」と言われ、失礼だと怒りを爆発。「私が隠ぺいしたのか」と自らを名指しした上で、「隠ぺいというのは…」と何度も繰り返し、「イメージ操作している」と反論。今井議員は「誰が隠ぺいしたのか、主語は言っていない」と反発した。

 共産党の小池晃議員には、「妻を犯罪者扱いするのは極めて不愉快」と、自ら「犯罪者」という言葉を発し、逆に小池議員から印象操作しているのは総理の方だと、発言の撤回を求められた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト