一方、民団が怒りを露わにしたのが、韓国メディアの「勘ぐり」に対してだ。韓国日報や京郷新聞など、複数の韓国メディアが2月1日、「民団が少女像の撤去を言い始めたのは、李大使が世論づくりのテコとすべく『在日が声を出せ』と求めたからだ」と報じたのだ。
また、それらの記事には一様に、民団は本国政府から毎年80億ウォン(約8億円)の援助を受けており、政府からの求めを拒否できない立場にある、との解説がぶら下がっていた。
民団はこれに対し、「民団に対する侮辱として、断じて許されるべきものではない」との抗議声明を出した。
前出の民団関係者が言う。
「我々が少女像の撤去を言い始めたことは、確かに韓国政府にとってウェルカムでしょう。日々、大使と意見交換をしているのも事実です。しかし、実際に自分で発言するには、次元の違う決断が必要になる。そうせねばならないほど現状が深刻だということが、よく理解されていない」
では、深刻な状況とはどのようなことを言うのか。前述した声明は次のように述べている。
〈ヘイトスピーチや嫌韓感情に在日同胞は数年間、どれほど苦労してきたか。韓日関係の悪化にどれほど胸を痛めてきたか。(中略)その意味で、「ヘイトスピーチ対策法」の成立・施行と、慰安婦問題の「韓日合意」は朗報であった〉
だが、こうした説明をただ聞くよりも、民団がどのような歴史を歩んできたかを知った方が、理解の助けになるかもしれない。