石垣島キャンプでは二軍に帯同した井口資仁
千葉ロッテマリーンズの井口資仁が今年43歳を迎え、中日の岩瀬仁紀とともに球界最年長選手となった。井口といえば走攻守の三拍子がそろった選手というイメージが強いが、年齢を重ねるごとにチームから求められる役割も変わってきた。ロッテでは2013年から一塁手として起用されるようになり、2015年からは代打での出場も多くなった。
「スタメンでないとき、代打の準備を始めるのは4回から。『先頭が出たら(出番が)あるかな』と、監督になったつもりで試合展開を予測しながら、いつでも行けるようにアップをします。
素振りはもちろん、腹筋をしたり、(重量のある)メディシンボールを壁にぶつけたり、初球から全力でスイングできるように完全に仕上げるので、実は出番がなくても結構疲れるんですよ」
野球を始めて三十数年。ベンチを温めるのは初めての経験だが、その分、新たな発見もあるという。
「チャンスは1打席の3球だけ。だからスタメンの時のように配球を読んで対応するわけにはいかない。ストライクゾーンに来たボールにはバットを振っていかないとタイミングを取れませんから。
セットアッパーやクローザーと対戦することが多いけれど、2ストライクまで追い込まれたら、いいピッチャーの決め球をとらえるのは難しい。初球から勝負です。チャンスの場面で起用されることが多いので、自分の一打にチームの勝敗がかかることも多くなる。やりがいはありますよ」
【プロフィール】いぐち・ただひと/1974年、東京都生まれ。青山学院大時代には東都大学リーグ史上唯一の三冠王となるなど活躍(通算24本塁打は現在もリーグ記録)、4年時にはアトランタ五輪野球日本代表として銀メダルを獲得した。1996年、ドラフト1位でダイエーに入団(逆指名)。プロ初出場試合で満塁本塁打を放つ鮮烈なデビューを飾り、その後も中心打者として1999年と2003年の日本一に貢献した。2005年にMLBホワイトソックスへ移籍。いきなりワールドシリーズを制し、日本人で初めて日本シリーズとワールドシリーズを制覇した選手となった。フィリーズ、パドレスを経て2009年にロッテへ移籍。2010年には日本一に貢献する。
撮影■藤岡雅樹 取材・文■田中周治
※週刊ポスト2017年3月17日号