1980年代後半、絶対的な人気を誇ったのが南野陽子だ。歌にドラマにCMにと、まばゆいばかりに80年代を駆け抜けた彼女が、43万部の大ヒットを記録した伝説の写真集『陽子をひとりじめ……』(講談社)撮影当時を振り返る。
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1985年3月から12月にかけて『DELUXEマガジン』と『週刊少年マガジン』(ともに講談社刊)で撮影・掲載された写真をまとめた写真集です。嬉しかったことや嫌だったこと、当時のことは鮮明に覚えています。
中でも忘れられないのは、この写真集のカメラマンである野村誠一さんの事務所で、初めてのカメラテストを受けたときのこと。デビュー直後で、言われるままに人生初のビキニに着替え、緊張と戸惑いのなかで臨んだら、野村さんに「この子は顔が一個しかないから無理。3ページしかもたないよ」って言われちゃったんです。
同じ表情しかできないという意味ですね。悔しくて、事務所にあった色んな人の写真集を持って帰り、家で物真似をして顔の筋肉をほぐして、表情作りの練習をしたのを覚えています(笑い)。
でもおかげで、私なりに撮影の時に心がける「決まり事」ができました。それは等身大の自分でいるということ。女子高生は女子高生らしく写るのが一番だと思ったんです。だから性的なことは全然意識していなくて、男性に媚びたり誤解させたりするような表情はしないと決めた。
基本的にはすっぴんですし、水着もスクール水着のようなワンピースタイプがほとんどで、過激な衣装は着ませんでした。ビキニしか用意されていない現場では帰ったことが何度もあります(笑い)。どうしても着なければいけない時は、変な顔をしたり、大口を開けたりして写真を全部使えないようにしたり(笑い)……写真集では、その合間に撮られた油断した瞬間の写真を使われましたね(笑い)。