書籍『軍艦島入門』の著者、黒沢永紀氏もこう語る。
「炭坑の技術を持たない朝鮮人の多くは『掘進』と呼ばれる坑道掘りなどに配属されたと聞きます。危険と隣り合わせの作業ですし、戦時中で食糧事情も悪く、決して良好な労働環境とは言えません。しかし、それは炭鉱に就労していた日本人も同様のはずです。
日本人に比べ不当な処遇を受けたと感じる朝鮮人がいたことは事実ですが、朝鮮人の軍艦島での処遇は“強制連行”や“奴隷”という言葉とはまったく異なる印象です。島には戦前から朝鮮人専用の遊廓があり、軍艦島に住む子供たちも日本人、朝鮮人の隔てなく仲良く遊んでいたといいます」
昨年、韓国では慰安婦の“実体験”を元にしたという映画『鬼郷』が公開され欧米でも反響を呼んだ。映画は、「強制連行された朝鮮人少女たちが暴力、凌辱の末に脱走を試み、最後は口封じのため日本兵に殺害される」という捏造に満ちた酷い内容だった。
『軍艦島』の柳昇完監督は韓国MBCの取材に「400人の集団脱走は創作」と認めながら、「映画は数多くの証言や資料に基づく事実」と断言しているが、反日を煽るために史実を歪曲、映像化し、世論に訴える手法は、前述の『鬼郷』と何ら変わりない。
映画の公開に先立ち、韓国では軍艦島の「地獄絵図」をテーマにした絵本が出版され、「強制徴用者像」の建設計画も浮上している。韓国が仕掛ける新たな歴史修正を看過してはならない。
※SAPIO2017年4月号