芸能

月刊誌『近代映画』 早見優、大場久美子が語る撮影秘話

ブランコに揺れる19歳時の大場久美子

 映画業界が斜陽になり、テレビから新たなスターが出現し始めた1970年代、月刊誌『近代映画』(1945年創刊、1996年『Kindai』に改題、2009年休刊)は邦画誌からアイドル誌へ路線を切り替えた。

 既に『平凡』『明星』がアイドルに特化していた時代。グラビアでは肌の露出が制限される中、『近代映画』は小道具などを使っていかに面白い写真を撮るかに知恵を絞った。

『近代映画』から派生した別冊の写真集を3冊も出版した早見優が話す。

「私は、野球のバットやバスケットボールを持ってよく撮影しました。スポーツが得意というイメージでいきたかったのかな。スケボーは乗れましたが、球技は不得意なんです。肌が焼けていたので、衣装は映える黄色を中心に選んでくれたのだと思います。だから、レモンも噛んだのかな(笑い)」

 アイドルに木登りさせることもあれば、手製のブランコを木に取り付けたこともあった。レコード大賞の新人賞を狙っていた岩崎宏美には願掛けのため、白装束を着させて白糸の滝に打たれる姿を撮った。

 人気企画の1つに、『全身解剖』というコーナーがあった。堀ちえみの全身イラストの横には、スリーサイズや靴のサイズなどに加え、〈虫歯 奥に2~3本治療済で~す〉という事柄から、〈デベソではありませヌ〉〈水虫ナシ〉と敢えて書く必要のなさそうな情報までが網羅されていた。1970~1987年まで編集に携わった高野光生氏が語る。

「そういうページを作るとは伝えますが、原稿や写真を見せることはなかった。出版後、『水虫ナシなんて余計なこと書かないでよ』といわれたこともありません(笑い)」

 日頃から信頼関係が築かれていた証拠だ。昨年、過去に掲載した記事をまとめた特別復刻版を出版した大場久美子はこう話す。

「テレビの収録も地方のコンサートも、常に付いてきて、食事も移動も一緒。秘密はちゃんと守ってくれるし、決して裏切らない。安心して話のできる家族のような存在でした」

 空前のアイドルブームが巻き起こった背景には、芸能事務所と手を組み合って、アイドルの魅力を引き出そうとする『近代映画』の熱意があった。

■写真/『別冊近代映画早春号 大場久美子スペシャル』(1979年)より

※週刊ポスト2017年3月24・31日号

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン