スポーツ

木村沙織の引退に取材陣も悲嘆 口下手でも愛された理由

引退会見後の木村沙織

 インドア女子バレーボールの日本選手として初となる四度の五輪出場を果たすなど、長年に渡り、日本バレーボール界の顔であり続けた木村沙織が、3月いっぱいでの現役引退を正式発表。3月22日に本拠地である滋賀県の東レアリーナで引退報告会見を行った。

 昨年10月10日のVプレミアリーグ開幕前に自らのブログで「24番から始まった私のバレーボール人生は2番で締めくくります」と記し、今季限りの引退を示唆してきたのだが、いざリーグが始まってからは引退の経緯や決意した理由に触れることはなく、あくまで東レアローズの一選手として活動してきた。

 東レにとって最終戦となった3月5日のNEC戦も、これが木村の現役最後の試合になる可能性が高いと踏んだ取材陣が80名近く、会場となった横浜文化体育館へと足を運んだのだが、試合終了後の記者会見では「質問は今日の試合についてのみ、引退に関しては別途時間を設ける」と告げられたため、一部の報道陣からは不満も漏れた。

 そもそもシーズン開幕前に引退を示唆していたのだから、コメントが必要ならばこれまでの試合に足を運べばいいだけの話でもあるのだが、通常の試合に訪れるメディアの数は5人いれば多いというのが現状。最終戦で引退に関するコメントがないなら書けない、と躍起になるのも無理はないのだが、結果的に、バレーボール界の功労者である木村の現役最後の公式戦にミソをつける形となった。

 それから約2週間後の3月22日、東レアリーナには横浜文化体育館の最終戦と同様に多くの記者が詰めかけた。テレビカメラやスチールカメラのフラッシュに照らされながら「緊張します」と小さな声でつぶやきながら、木村が笑顔で登壇。

「今月末をもって現役を引退することをご報告いたします。本当にたくさんの方々に支えてもらって、今は感謝の気持ちでいっぱいです。そして、現役中は取材になかなか協力することができなかったことに対して、ご理解いただきありがとうございました。今日は何でも答えられるように頑張りますので、よろしくお願いします」

 冒頭の引退報告の後、代表質問を皮切りに記者会見がスタート。現役時代に最も印象に残る試合が銅メダルを獲得したロンドン五輪の準々決勝の中国戦であったことや、引退を決意したのは「以前と比べて『絶対に試合にでたい』とか『負けて悔しい』という気持ちが薄れて来た」ことなど、包み隠さず、1つ1つの質問に対して真摯に答え続けた。

 バレーボールに限らず、昨年末に結婚した家庭についても言及。「のんびりと、ほんわかと。温かい幸せな家庭を築けたら」と笑顔で答えた。

 笑顔の中にも時折涙を見せながら全体の質疑応答を終え、テレビ、ペンの順番でカコミ取材がスタート。ここでも「NG質問はなし」という事前の通達通り、バレーボール人生、そして「これからは主婦として家庭を一番に考えたい」など飾らない言葉で取材に応じ、ペン記者へのカコミ取材だけで1時間もの時間を費やした。

 長年に渡って練習拠点としてきた東レアリーナでの会見は、木村が所属するマネジメント会社だけでなく、東レの選手やスタッフも全面協力。駐車場の誘導や靴を入れるビニール袋を選手やスタッフが配り、報道陣には木村が描いた愛犬と自分のイラストステッカーを貼った水が配られた。

関連キーワード

トピックス

奥田瑛二
映画『かくしごと』で認知症の老人を演じた奥田瑛二、俳優としての覚悟を語る「羞恥心、プライドはゼロ。ただ自尊心だけは持っている」
女性セブン
『EXPO 2025 大阪・関西万博』のプロデューサーも務める小橋賢児さん
《人気絶頂で姿を消した俳優・小橋賢児の現在》「すべてが嘘のように感じて」“新聞配達”“彼女からの三行半”引きこもり生活でわかったこと
NEWSポストセブン
NEWS7から姿を消した川崎アナ
《局内結婚報道も》NHK“エース候補”女子アナが「ニュース7」から姿を消した真相「社内トラブルで心が折れた」夫婦揃って“番組降板”の理由
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【厳戒態勢】「組長がついた餅を我先に口に」「樽酒は愛知の有名蔵元」六代目山口組機関紙でわかった「ハイブランド餅つき」の全容
NEWSポストセブン
真美子夫人とデコピンが観戦するためか
大谷翔平、巨額契約に盛り込まれた「ドジャースタジアムのスイートルーム1室確保」の条件、真美子夫人とデコピンが観戦するためか
女性セブン
日本テレビ(時事通信フォト)
TBS=グルメ フジ=笑い テレ朝=知的…土日戦略で王者・日テレは何を選んだのか
NEWSポストセブン
今シーズンから4人体制に
《ロコ・ソラーレの功労者メンバーが電撃脱退》五輪メダル獲得に貢献のカーリング娘がチームを去った背景
NEWSポストセブン
「滝沢歌舞伎」でも9人での海外公演は叶わなかった
Snow Man、弾丸日程で“バルセロナ極秘集結”舞台裏 9人の強い直談判に応えてスケジュール調整、「新しい自分たちを見せたい」という決意
女性セブン
亡くなったシャニさん(本人のSNSより)
《黒ずんだネックレスが…》ハマスに連れ去られた22歳女性、両親のもとに戻ってきた「遺品」が発する“無言のメッセージ”
NEWSポストセブン
主犯の十枝内容疑者(左)共犯の市ノ渡容疑者(SNSより)
【青森密閉殺人】「いつも泣いている」被害者呼び出し役の女性共犯者は昼夜問わず子供4人のために働くシングルマザー「主犯と愛人関係ではありません」友人が明かす涙と後悔の日々
NEWSポストセブン
不倫疑惑に巻き込まれた星野源(『GQ』HPより)とNHK林田アナ
《星野源と新垣結衣が生声否定》「ネカフェ生活」林田理沙アナが巻き込まれた“不倫疑惑”にNHKが沈黙を続ける理由 炎上翌日に行われた“聞き取り調査”
NEWSポストセブン
ハワイの別荘と合わせて、真美子夫人との愛の巣には約40億円を投資
【12億円新居購入】大谷翔平、“水原一平騒動”で予想外の引っ越し 日系コミュニティーと距離を置き“利便性より静けさ”を重視か
女性セブン