アスリートが試合前、好きな音楽を聴いて士気を高めることはよく知られている。その先駆けは「Qちゃん」こと、マラソンランナーの高橋尚子だろう。日本女子マラソン初の金メダルに輝いた2000年シドニー五輪。スタート前にhitomiの「LOVE2000」を聴いて集中力を高めるとともにリラックスしたエピソードは大きな話題を呼んだ。これを機にアスリートと音楽の関係は注目され、メディアにも頻繁に取り上げられている。
昨夏のリオ五輪卓球女子団体で銅メダルを獲得した伊藤美誠も、音楽には目がない。伊藤は現在16歳。現役女子高生アスリートが普段、どんな音楽を聴いているのかは、なかなか興味深い。東京・豊洲PITで24日、パラスポーツ(障害者スポーツ)を盛り上げる一夜限りのライブイベント「TEAM BEYOND LIVE FIELD 2017」(東京都主催)にゲスト出演した伊藤は、AI、三浦大知、女子高生6人組ボーカルグループLittle Glee Monster(以下、リトグリ)ら実力派アーティストのライブに興奮しながら、自身の音楽事情について、「音楽は幅広く何でも聴くほう。今はリトグリさんの大ファンで、特に応援ソングを集めたアカペラメドレーが大好きです」と話した。
伊藤はリトグリ最年少のmanakaと2000年生まれで同い年。ツイッターで知り合って以来、仲が良く、「YouTubeでアカペラメドレーを聴いて、すごく感動して、ツイッターにリンクを貼ったら、manakaちゃんがリツイートしてくれたんです」と伊藤。manakaも「まさか、あの美誠ちゃんがツイートしてくれるなんて、びっくりしました!」と相思相愛。さらに2020年東京五輪で金メダルを狙う伊藤が、「開会式に出て大会を盛り上げてほしい」とリトグリにエールを贈ると、「同世代の美誠ちゃんからそう言ってもらえて、すごくうれしい。私たちもそこにたどり着けるよう頑張って、アスリートの皆さんの活躍を音楽で支えたい」と応えた。
リオ五輪当時、弱冠15歳で五輪のメダルを手にした伊藤はアスリートによくある試合前のルーティンをあえて設けていない。周囲をあっと言わせる型破りなプレースタイルもそうだが、彼女が優先するのはインスピレーション。形式や常識にとらわれず、ひらめきを大切にしているため、できるだけ決まりごとを課さないようにしているのだ。そのため試合直前の音楽も聴いたり、聴かなかったりだそう。