もち麦ごはんの人気の背景にあるのが、糖質制限ブームだ。ごはんやパン、麺など主食に多く含まれる糖質を摂取すると、急上昇した血糖値を下げるためにインスリンが分泌される。それにより血糖がエネルギーとして消費されるが、一方で過剰なインスリン分泌には血糖を脂肪として蓄積させるはたらきがあり、肥満に繋がる。
糖質制限ダイエットは、その“元凶”である糖質の摂取を減らすアプローチだ。カロリー制限重視の従来のダイエットと違い、肉や魚など、糖質以外であれば制限なく食べられることからブームとなった。ただし、主食として長く親しんだ「ごはん」との“決別”に苦労する実践者も少なくない。
そこで、もち麦ごはんなのである。前出の松生氏が解説する。
「もち麦の糖質は白米よりも約2割少なく、食物繊維がおよそ20倍も含まれています。注目すべきはβグルカンという水溶性食物繊維が他の穀物に比べて多く含まれていることです。βグルカンは水に溶けてゲル状になったまま胃に長時間とどまります。それによって消化吸収のスピードが遅くなり、糖の吸収が緩やかになります。そのために食後の血糖値の急上昇が抑えられるのです」
つまり、もち麦ごはんによって「ごはんを食べた」という満足感を得ながら糖質制限によるダイエット効果も期待できるというのである。松生氏が続ける。
「βグルカンの研究で先行しているアメリカのFDA(米食品医薬品局)は、その摂取量を1日に3g程度が適当だとしています。もち麦に置き換えると50gほど食べるのが望ましいということです」