◆米海軍基地が見渡せるホテル

 結婚の翌年、呉は太子党の人脈を生かして、中国建国当時の軍最高幹部で、外相や副首相も歴任した陳毅元帥の息子の陳小魯とともに、安邦保険を創設。安邦はこの10年ほどで飛躍的に成長した。太子党のコネクションを利用し中国政府の強力な支援を得て、3500万人もの顧客を獲得したからだ。

 安邦は中国では私営企業ながら、時として中国政府の息がかかった“公営企業”と言われるが、まさに政府の意を受けて、海外でのビジネス展開を急拡大している。19億5千万ドル(約2400億円)でウォルドーフを買収したのもその一環だ。

 米国内では昨年10月、サンディエゴにある高級ホテル「ホテル・デル・コロナド」の買収に成功したかにみえたが、米外国投資委員会によって「待った」をかけられた。ホテルは米海軍基地と隣接し、しかも海軍の特殊部隊「シールズ」の本部が置かれているからだ。「米国の国家安全保障上の脅威になりうる」との判断だが、これはウォルドーフ買収の際の懸念と同じだ。

 その呉とジャレッド・クシュナーが知り合ったのはいつごろか。米紙ニューヨーク・タイムズによると、呉がウォルドーフを買収した翌年の2015年ごろで、同年6月まで4年間、ニューヨーク州金融サービス局長を務めていたベンジャミン・M・ロウスキーの紹介だったとされる。

 ロウスキーは局長を辞めたのち、金融コンサルタントとして活動。顧客の一人が米中堅生保「フィデリティ・アンド・ギャランティ・ライフ」の買収を手がけていた呉だった。呉はいったん同社の買収で合意したと発表したものの、その後、州金融サービス局の命令で、安邦の株主などの詳細な経営情報の開示を求められ、買収は現在、暗礁に乗り上げている状態だ。

 呉はデッドロック状態を打開しようとロウスキーに接触。逆に、ロウスキーから彼の顧客の一人であるクシュナーの存在を知らされた。なぜならば、クシュナーも大きなビジネス案件を抱えており、資金を提供してくれる支援者が必要だったからだ。

 当時のクシュナーはニューヨーク・マンハッタンの5番街に位置する41階建て「5番街666ビル」の再開発計画を構想していた。666ビルはクシュナーが2006年に18億ドルもの巨費を投じて買収。ニューヨークではロックフェラーセンターに隣接する最高級物件。買収額は当時のニューヨーク史上最高値で、以前の持ち主の買収額の3倍だった。

 クシュナーはこの買収劇で、ニューヨークのビジネス界における有望な若手実業家として一躍名前を知られる。そのころ社交界で知り合ったのが、いまの妻のイバンカ・トランプだった。言わずと知れたトランプ大統領の娘だ。

関連記事

トピックス

女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
〈一緒に働いている男性スタッフは彼氏?〉下北沢の古着店社長・あいりさん(20)が明かした『ザ・ノンフィクション』の“困った反響”《SNSのルックス売りは「なんか嫌」》
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
《“手術中に亡くなるかも”から10年》79歳になった大木凡人さん 映画にも悪役で出演「求められるのは嬉しいこと」芸歴50年超の現役司会者の現在
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン