こうして、ゴミを運ぶ貨物列車「クリーンかわさき号」が誕生した。一日に一便が運転されている「クリーンかわさき号」は、17時57分に梶ヶ谷貨物駅を出発。JR川崎貨物駅でディーゼル機関車に付け替えて、神奈川臨海鉄道末広駅に19時18分に到着するというダイヤが組まれている。
通常、貨物列車は野菜や工業部品などを運んでいる。川崎市が運行するゴミを運ぶ貨物列車は、野菜や工業部品と一緒に運ばれることはないが、列車でゴミを運ぶには衛生的な問題をクリアしなければならない。
「『クリーンかわさき号』を運行するにあたり、川崎市は臭気や汁漏れを防ぐために密閉型で強度のある特別なコンテナを独自に開発・製作しました。現在、川崎市は『クリーンかわさき号』のために一般ゴミ・焼却灰・破砕ゴミなどを運ぶ20フィートコンテナを92、ミックスペーパー・プラスチック製容器包装を運ぶ12フィートコンテナを95所有しています」(同)
『クリーンかわさき号』はトラック輸送と比べてCO2を排出しないため、清掃車でゴミを収集・運搬するより環境面で優れていることが注目されるようになった。ゴミの非常事態宣言を出すまで追い込まれていた川崎市は、一転して環境先進都市へと姿を変えた。埋立地を多く抱え、それまで工業都市のイメージが強かった川崎市は、『クリーンかわさき号』によって市のイメージが変わったのだ。