21世紀の成功の方程式とは、何か。経営コンサルタントの大前研一氏が、過去の産業革命によって変遷を繰り返した成功の方程式を振り返り、巨富を生むのはどんな人たちなのかについて解説する。
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第4次産業革命(インダストリー4.0)が進行中だ。第1次産業革命(18世紀後半)では蒸気機関による「機械化」、第2次産業革命(20世紀初頭)では電力・石油による「重工業化」と「大量生産」、第3次産業革命(1970年代~21世紀初頭)ではコンピューターによる「自動化」が起きた。そして第4次産業革命(2010年以降)ではAI(人工知能)やビッグデータ、IoT(モノのインターネット)による「自律化」が推進していく産業構造の大転換が始まっているのだ。
実は、第4次産業革命下における21世紀の「成功の方程式」は、第2次産業革命の時代と似ている。突出した「個人」が新しい事業を興して革命を牽引し、莫大な富を創出するという点が共通しているのだ。
たとえば第2次産業革命の牽引役はスタンダード・オイルを創業した「石油王」ジョン・ロックフェラーやカーネギー鉄鋼会社を創業した「鋼鉄王」アンドリュー・カーネギー、フォード・モーターを創業した「自動車王」ヘンリー・フォード、GEの始祖トーマス・エジソンといった人たちだった。
それと同様に、今の第4次産業革命では、グーグル共同設立者のセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジ、フェイスブックを創設したマーク・ザッカーバーグ、ペイパルやスペースX共同設立者のイーロン・マスクらが革命をリードし、富を創出しているのだ。
この状況は、19世紀後半のアメリカの西部開拓時代とも似ている。西部開拓時代はボストンやニューヨークなどの東部の都市に安住しないで危険な西部に向かい、金鉱を発見したり、荒野を切り開いて牧場や農場を作ったりしたパイオニアが大きな富を手に入れた。つまり「リスクを取って先に動いた人」だけが莫大な利益を得たのである。