「日本酒のPRイベントは他にもたくさんあります。でもせっかくやるからには、単に酒を飲むだけではなく、そこにいる時間を楽しんでほしい。カップルや家族で来て、酒を飲めない人でも“また来たい”と思えるようなイベントを目指しています」
会場のデザインは、世界で活躍する建築家・藤本壮介氏が担当。酒に合わせて提供される食事も、2つ星のフレンチ『レフェルヴェソンス』やイタリアンの『ドンチッチョ』など、ミシュランクラスの名店ばかりだ。このイベントには、中田氏の培ってきた人脈がフルに生かされている。
続いて4月7日から東京・六本木で開催される『クラフト サケ ウィーク 六本木ヒルズ』では、新しい花見を提案したいという中田氏のアイデアで、プラントハンター・西畠清順氏の協力を得て、昨年から準備。約1000本の桜の枝を用いた“桜の花畑”が会場を彩る。
だが、もちろん主役は日本酒。この『クラフト サケ ウィーク』では、テーマに合わせて日替わりで10軒の酒蔵が出店するが、出店数を10軒に絞ったのにもこだわりがある。
「1日で味を記憶できる種類は限られていると思います。たくさん飲んでも酔っ払ってしまえば、どれが美味しかったか忘れてしまうじゃないですか。
僕は、このイベントで美味しいと思ったら、銘柄を覚えてもらって、次は自分で買ったり、居酒屋で注文したりしてほしい。ひとつずつをしっかり味わってほしいと思って、1日の蔵数を絞っているんです」