スポーツ

羽生結弦選手の最大の魅力は喜怒哀楽とドラマ性

羽生選手の魅力はドラマ性?

 経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、羽生結弦選手になぜ人は魅せられるのかを分析。

 * * *
 ヘルシンキで行われたフィギュアスケートの世界選手権で、3年ぶりに王座を奪還した羽生結弦選手。ショートプログラムでは5位と出遅れたものの、フリーではノーミスの完璧な演技を披露し、自身の記録を塗り替える世界最高得点をマークした。

 大勢のファンが応援に駆け付け、凱旋帰国した羽田空港にも約500人のファンが出迎えた。ファンの嬉しさと喜びにあふれた顔を前に、羽生選手は、はにかんだような柔らかい笑顔で応えていた。

 これほど多くのファンを魅了する羽生選手。その魅力とは、いったいどこにあるのかを分析してみたい。

 顔が小さく、手足が長いバランスの取れた体型にきれいな身体の線。すっきりした優しい甘い顔立ちは、少年っぽい、どこか中性的な雰囲気もあり、ネットなどでよく言われている「少女マンガの主人公」という表現がぴったり当てはまる。

 演技で見せる柔らかさ、しなやかさ、優しさと、内に秘めた強靭さや忍耐強さ。そして、ジャンプの時に見せる鬼気迫る表情とのギャップの大きさ。さらに、面倒な質問には大きく息を吸ってフッとはき出しながらも丁寧に対応し、決しておごることのない立ち居振る舞い…。完璧を目指して積み重ねられる努力と演技への執念はすさまじい。

 絶賛するネタは尽きないが、それ以上にファンが魅了されるのは、羽生選手が紡ぎ出すドラマと彼自身の持つドラマ性ではないだろうか。

 世界選手権ショート。羽生選手は、演技前のリンク上で身体の前で十字を切り、手を合わせるルーチンをいつも行う。だが、この日のルーチンは短くさっとすませた印象だ。勝負に向かうアスリートにとって、ルーチンは精神統一、集中するための重要なワーク。老婆心ながら、どこかに迷いがあるのかと思ってしまった。

 表情にいつもの勢いがない。滑り終わった直後も感情が抜けたような顔でうつむき、肩を落として腰に両手を当てた。演技を悔やんでいるのだろう。

 だが、フリーではいつも通りゆっくりしたテンポでルーチンを行った。自信を持って集中できていたのだろう。滑りだすと生き生きとした表情を見せ、目が輝く。演技が終わると、「やった! やりきった!」という思いからだろう。顔の左側の口元と頬に力をギュッと入れ、強く鋭く凄みのある目で正面を見据えた。内にある闘争心と強さがその目に表われていた。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン