逆に、ステージの真裏だったためどの席よりもステージに近く、演出のために飛ばされる車型バルーンが自分たちのそばから場内へと旅立つところを身近で見ることができるエリアとなっていた。普通ではあり得ない体験ができたこともあって、「後ろ姿が透けて見える」「アリーナ席よりもステージに近い」「ステージ端からhydeさん手を振ってくれた」などファンのノリも良く忘れられないライブになったと満足度が高いほどだ。
ステージがまったく見えない席は今回が初めてではなく以前も存在したと、ライブハウスやコンサートに通い続けている飲食店を経営する50代男性はいう。
「1990年にローリング・ストーンズが初来日したときに『見えない席』がありました。東京ドームで10日間も公演があったけど、とにかくチケットが取れなかった。1973年の幻の初来日から約20年、もう二度と来日公演はないかもしれないという噂もあって、見えなくてもいいから売ってくれという声に応える形で売られた席は、本当に何も見えなかった。場所がよければ一部は見えたようですが、運次第でした。当時はドームでのコンサートに慣れていない時代だったから、きっと音もよくなかったと思う。でも、僕らは大満足だったんです」
L’Arc-en-Cielも、コンサートそのものが約1年半ぶり。次のコンサートツアーの発表もないことから、次はいつ、どこでライブが見られるかわからない。二度と見られないかもしれないという恐れはないだろうが、ファンのライブに対する飢餓感が、約25年前のローリング・ストーンズ初来日時と同じような心境にさせ、ステージバック席でも満足させたのかもしれない。