井上:そういうことは話を聞かないと知りようがないですからね。今までの映画やドラマも多くが挙手敬礼だったと思います。リアリティのあるものを作ろうとしたら、倉科さんのような方がいらっしゃらないと無理です。取り調べ中にはお水か白湯しか飲まないということも初めて知りました。
倉科:『緊急取調室』は取調室がテーマなので、その部分にはこだわりました。
ドラマだと取り調べ中にお茶を取り替えにくる刑事がよく出てきますが、それはルール違反。ホシ(犯人)が歌う(自供する)かもしれない時にお茶を取り替えに来られたら、タイミングを逃してしまう可能性がありますから。
井上:ましてや、カツ丼なんてありえないんですよね。
倉科:あれは捜査と留置が混同されているんですよ。昔は刑事課のなかに留置係があって、留置中には取調室で飯を食うこともありました。でも今は刑事課と留置場は業務が分離されているので、食事の時は留置係が迎えにきて、留置場に戻ってから食べることになります。
井上:警察ドラマに逮捕シーンは欠かせませんが、表現に気をつけなければいけないことも教えられました。
倉科:よく「別件逮捕」で引っ張ってくるシーンが出てきますが、あれは気をつけなければいけない。違法捜査になる場合もありますから。