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引退会見の浅田真央 複雑な胸の内を眉が物語る

引退会見での心の内は…?

 経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、浅田真央選手の現役引退会見に注目。

 * * *
 フィギュアスケートのバンクーバー五輪銀メダリスト・浅田真央が引退した。400人以上の報道陣が集まったという会見場に白のジャケットに黒のスカートで、明るい笑顔を見せながら登場した浅田真央。

 白のジャケットを選んだことについて「黒のスーツとどちらにしようか迷った」と言うが、「晴れやかな気持ちなので白を選んだ」と答えた。白は明るさ、平和、始まりや広がり、未来をイメージさせる色。「晴れやか」と言った彼女の気持ちにぴったりの色である。

 もし、浅田が迷ったという黒のスーツを着て登場していたら、会見の雰囲気は違ったものになっていただろう。

 黒は強さや終わり、恐れや決意イメージさせ、白より重さやまとまりを印象づける色だ。会見を見た人には、選手生活に終止符を打った彼女の決断の重さ、決意に至るまでの紆余曲折や過去の見せた不屈の精神が強調され、これほどの清々しさはなかったかもしれない。

 だがスカートは黒、Vネックから時折のぞくインナーも黒。不安があったり、自信のない時に黒い服を身にまとうと、自分を守り心を強く支える作用があるとも言われる。上下、真っ白のスーツではなく黒も身につけていたことから、引退会見は晴れやかなだけでなく、一区切りとなる決意表明に緊張や不安、ストレスを感じていたことがわかる。

 引退を考え始めたきっかけについて聞かれると、「いい形で復帰できたが…」と話し始めたが、「身体の部分で辛いことが多くなった」と、両方の眉がグッと持ち上がった。浅田の内面の感情は眉に表れやすい。ソチが終わった時も「自分の身体もまだまだできる」と眉が持ち上がり、復帰した後も「実際、挑戦してみて…」と眉を上げた。身体の辛さ、苦しさ、不安といった感情が心の中で思い出されたのだろう。

 復帰後の挑戦、チャレンジ、引退という言葉を口にする度に、その時の身体の状態や感情が思い起こされるのか、浅田の眉は持ち上がった。実際報道や佐藤信夫コーチのインタビューを見ると、彼女の膝は限界だったようだ。

 最後の全日本選手権で「もういいんじゃないかなと思った」と言った時は、両方の眉頭がグッと持ち上がった。心理学者のポール・エクマンによると、眉全体ではなく眉の内側、眉頭だけが持ち上がるのは、悲しみを感じているからだと述べている。やはり寂しさや悲しさが、心の中にあったのだろう。

 平昌五輪に行くという目標を口にしていた自分、決して夢をあきらめてこなかった自分が、あきらめるという選択肢を自ら選ぶ。ふっきれたと簡単には言えない気持ちのせめぎ合いがあったことが、眉の動きに表れていた。

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