ビジネス

「副駅名称」が鉄道の新たな稼ぎ口に 元祖はあの百貨店

「三越前駅」は駅名ネーミングライツの元祖

 スタジアムやホール、歩道橋や海水浴場など、施設の名称を自治体が広告として販売するようになって久しい。最近では、ネーミングライツ販売に取り組む鉄道事業者が増えている。いま、日本中に広がある「副駅名称」や「副名称」と呼ばれる駅名販売について、ライターの小川裕夫氏がリポートする。

 * * *
 3月26日、東京都交通局は都電荒川線の「熊野前」と「荒川二丁目」の2停留場に副駅名称を導入した。「熊野前」には“首都大学東京荒川キャンパス前”、「荒川二丁目」には“ゆいの森あらかわ前”という副駅名称がつけられている。

 近年、鉄道事業者は正式な駅名のほかにも副駅名称をつけるケースが増えている。副駅名称をつける背景には、どんな理由があるのだろうか?

「東京都交通局では、利用客の利便性を図ることを目的としています。今回、都電荒川線の2停留場で副駅名称が導入した背景には、これまでの名称に加えて多くの人が利用すると想定される施設名を副駅名称に入れたことで、普段利用している人ばかりではなく、沿線外の利用者でもわかりやすいなり、より多くの人が都電荒川線を利用してもらえると考えたからです」(東京都交通局電車部営業課)。

 確かに、「熊野前」という名称では、首都大学の荒川キャンパスがあることはわかりにくい。日常的に利用している乗客以外を取り込むためには、こうした利便性の向上は欠かせない。

 そうした利用者の利便性向上を目的とした東京都交通局のようなケースがある一方で、別の狙いから副駅名称を導入している鉄道会社が増えている。例えば、東京-横浜間を地盤とする京浜急行電鉄(京急)は2013(平成25)年から副駅名称の導入を発表。その第一号として、7月に梅屋敷駅に東邦大学前という副駅名称が設定された。

「京急では副駅名称を新たな広告媒体として位置づけ、副駅名を販売を始めました。しかし、すべての駅で副駅名称を販売しているわけではありません。全72駅のうち『羽田空港国際線ターミナル駅』と『羽田空港国内線ターミナル駅』の2駅は対象外にしています。この2駅は公共性が高く、副駅名称を導入することで誤認される可能性があるので、それを防止するために対象外としています。また、品川駅・京急川崎駅・横浜駅・上大岡駅は、京急グループの施設のみの販売とさせていただいております」(京急電鉄広報課)

 京急の副駅名称を販売する代理店のホームページには、副駅名称の広告料金が掲出されているが、最高ランクの特A駅は年間契約で月60万円(税別)となっており、グループ企業といった理由や長期契約による割引はないという。

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン