京急と同様に、東武鉄道(東武)も2016(平成28)年より副駅名称を新たな広告媒体として販売を開始した。すでに「東武練馬駅」に“大東文化大学前”、「霞ヶ関駅」に“東京国際大学前”といった具合に3駅で副駅名称が導入された。東武は「広告料金については一般的に非公開」ということだが、特に販売の対象外になっている駅はない。伊勢崎線の「浅草駅」や東上線の「池袋駅」といったターミナル駅でも、「東武動物公園駅」といった施設名が冠されている駅でも副駅名称をつけることは可能だという。
副駅名称で稼ぐ手法は、これまで利用者の少ないローカル線で多く見られるものだった。そうした手法はネーミングライツと呼ばれ、近年のネーミングライツブームを切り開いたとされるのが、九州を地盤とする平成筑豊鉄道だ。
平成筑豊鉄道は国鉄の伊田線・糸田線・田川線を引き継いだ第3セクター鉄道で、2015(平成27)年における年間乗車人員は約162万2000人。この数字は、ローカル鉄道としては健闘している部類に属するが、少子高齢化などの要因によって乗車人員は減少傾向が続いている。
そうした危機感から、平成筑豊鉄道は運賃外収入を増やそうと知恵を絞ってきた。そして、2008(平成20)年に車両と駅名のネーミングライツを開始する。現在、平成筑豊鉄道では全35駅中33駅でネーミングライツが採用されているが、「田川病院前駅」と「源じいの森駅」にネーミングライツは導入されていない。
「この2駅は開設にあたり地元自治体などが費用を負担していただいた経緯があります。そのため、ネーミングライツを導入しない方針にしています」(平成筑豊鉄道)