このトップ5を見ると特に変化がないという印象を受けるかもしれないが、そうではない。資産1000億円以上のメンバーを眺めてみると、そこからは日本経済の確かな変化が読み取れるのだ。
注目すべきは、昨年より大幅に順位を上げ、女性ながら初のビリオネア(資産1000億円以上)入りを果たした篠原欣子氏だ。人材派遣業のテンプHD創業者(現名誉会長)で、総資産1220億円。昨年の47位から37位にアップした。
2053年に日本人口が1億人を割るといわれるなか、深刻化するばかりの人手不足を解消するために労働市場改革が急務とされている。労働の多様化を担い得る派遣業に注目が集まり、業界をリードするテンプHDの株価が1年で30%アップした。そのため、同社株を25%保有する篠原氏が順位を上げた。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。
「篠原氏は、自身の母親がシングルマザーとして5人の子供を育てる姿を見ながら育った。1973年にアパートの1室でテンプスタッフを設立。1990年代に、女性の事務派遣業を主に急成長を遂げ、2006年には上場を果たした。同社は現在、米国や中国、インドなど13か国に進出しています」