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2017.04.21 16:00  週刊ポスト

『酒とつまみ』創刊メンバー・大竹聡氏の「憧れの朝酒」とは

 私が朝酒をするのは旅先が多い。旅館で飲む。これもいい。酒蔵の取材に出向いて飲む。これもいい。ほかには、朝から飲める定食屋でハムエッグなんか頼んでビールの小瓶を1本、なんてのもいい。けれども、もっともしぶいと思うのは、酒屋の酒だ。角打ち、というやつである。

 角打ちは関西や北九州が有名だけれど、その昔、東京にもあった。かれこれ30年以上前、西新宿の小さな出版社の使い走りをしていたが、その会社の入る雑居ビルの近くに一軒の酒屋があって、店先で酒を飲ませた。

 ビールのケースなんか、勝手に出してきて腰掛けて飲むサラリーマンもいたように記憶する。

 つまみは乾きものと缶詰。ホンマものの酒好きはカップ酒をぐいっと飲むのだなと、ちょっと飲めば真っ赤になる私などは、ビビりながら店の端っこでビールを飲んでいた。私にも、紅顔の美少年であった時代はあるのです。

 北九州では、仕事で何度も足を運ぶうちに、行けば必ず寄りたい角打ちの何軒かができた。

 ホテルの朝食を食べずに街へ出て、酒屋へ入る。簡単な酒肴とビールをもらう。そこには、朝から地元の客の姿があって、黙って1杯飲み、あるいは2杯飲み、すっと帰る。長居をする人はいない。

 たいてい、そこそこにお歳を召している。その年齢まで朝から飲んで無事に生きてこられたのですね、と思えば、一緒にいるだけで心強い気持ちになってくる。なんとも、ありがたい一瞬、こういう朝酒が私は好きです。

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