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2017.04.23 07:00  週刊ポスト

【著者に訊け】土田英生氏 小説デビュー作『プログラム』

「現実をそのまま描くと、政治的な文脈などに絡め取られてしまい、読み手の立ち位置によって違う判断をされてしまう。それを避けるには、架空の設定にしながら、喜劇の体を装って石を投げるしかない。そうやって人間の愚かしさや有様を描いていたいんです。

 本来、危険は避けてこそ動物でしょう? でも原発事故が起きた村は、事故後も植物が生え、普通の人里に見える。目に見えず察知もできない危険なものを、そもそも人類が扱ってはいけないという理性すら失った僕らは、ただただ無意識のうちに死の行進をしている気がしてならないんです」

 その〈行列〉に連なり、戸村の思いにも気づこうとしなかった高島が、最後に少しだけ殻を破るのがせめてもの救いか。が、悲劇はその遅すぎた変化を待ってはくれない。おそらくは著者自身が、愚かでしょうもない人々の営みを心から愛し、笑っていたかった1人なのだろう。

【プロフィール】つちだ・ひでお/1967年愛知県生まれ。立命館大学産業社会学部入学後、演劇活動を開始し、1989年に劇団MONOの前身・B級プラクティスを結成。1999年『その鉄塔に男たちはいるという』でOMS戯曲賞大賞、2001年『崩れた石垣、のぼる鮭たち』(文学座)で芸術祭賞優秀賞等を受賞。03年、文化庁新進芸術家派遣研究員としてロンドンに留学し、映画『約三十の嘘』『初夜と蓮根』やドラマ『おかしなふたり』等、脚本作品も多数。京都在住。169cm、72kg、O型。

■構成/橋本紀子 ■撮影/国府田利光

※週刊ポスト2017年4月28日号

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