〈日常的な耳鳴りに悩まされ、近所の耳鼻科に相談したところ「耳鳴りは老化現象の一つだから仕方ない」と言われた。後日、別の病院で聴力検査を受けると、聴力に左右差があった。念のためMRIを撮ってみると、「聴神経腫瘍」という脳腫瘍が見つかった〉
井上耳鼻咽喉科院長の井上里可氏が言う。
「最初の医師はなぜ、単なる老化と決めつけたのか。耳鼻咽喉科医の間では、耳鳴りは、聴神経腫瘍の初期症状として知られています。
この脳腫瘍は神経にできる“おでき”のようなもので、100人に1人くらいの割合で発生します。耳鳴りは脳腫瘍に限らず、様々な病気のサインであることが多い。“耳鳴りは放置してはいけない”と心してほしい」
その他、くも膜下出血の誤診も起こり得る。くも膜下出血の典型的なサインといえば“頭をバットで殴られたような痛み”だが、それ以外に“首の後ろが痛むだけ”というケースもある。
後者の場合、整形外科に行ってしまうと「寝違え」などと誤診され、症状が現われた時には手遅れという可能性がある。症状としては「嘔吐」や「吐き気」もポイントとなるため、もしそれらがあれば脳神経外科を受診するべきだろう。
※週刊ポスト2017年4月28日号