そんな舞台の粋が役者心をくすぐり生まれたのが、今年で第33回を迎えた「四国こんぴら歌舞伎大芝居」。二代目中村吉右衛門や二代目澤村藤十郎、五代目中村勘九郎らが「ここで芝居がしたい」と語り、昭和60(1985)年に第1回公演が旗揚げされた。以来、「江戸の小屋で江戸の芝居をする」 四国こんぴら歌舞伎大芝居は、役者にとって特別な場となった。
15年ぶりの仁左衛門は、
「金丸座の舞台に立っておりますと、私たちの祖先はこういうところでお芝居をしていたのだなあ、とあらためて思います」
と語り、父・四代目中村雀右衛門が大切に演じてきた役を披露した五代目雀右衛門は、
「父と最後に金丸座に来させていただいたのは、『二人道成寺』を務めさせていただいた平成13年。自分が仮花道、父が本花道と舞台で並び、常磐津で踊る場面がございました。その想い出は今でも忘れられません」
と、しみじみ振り返った。