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トヨタ 佐吉、喜一郎という創業2代の神格化が進む

 豊田家の系譜には佐吉の甥で歴史的な工販合併(※注)を成し遂げ、「トヨタ中興の祖」とも呼ばれる豊田英二・元会長(故人)の流れもある。

【※注/1950年の経営危機以来、分離していた生産部門(トヨタ自動車工業)と販売部門(トヨタ自動車販売)を1982年に合併。英二氏はそれを機に章一郎氏に社長を譲った】

 現在、英二氏の長男・幹司郎氏がトヨタ子会社“御三家”のアイシン精機の会長、次男の鐡郎氏はやはり“御三家”の豊田自動織機会長、三男の周平氏がトヨタ紡織会長を務め、本家の章男社長を支えている。ところが、である。

「4月4日に英二氏の弟で豊田自動織機社長を務めた芳年氏(1月死去)のお別れの会が行なわれた。当然、本家の章一郎名誉会長か章男社長がトヨタを代表して挨拶に立つと思っていたのに、実際に挨拶したのは張富士夫・名誉会長でした」

 本家と分家をはっきり区別するところにも、純化路線の影響があると出席者に受け止められた。

 いま、トヨタはグループあげて創業の精神に立ち返ることが強く説かれている。今年の豊田自動織機の入社式でも大西朗社長が新入社員にこう語りかけた。

「社祖・豊田佐吉の遺訓として創立以来大切にしている考え方をまとめたものが社是『豊田綱領』だ。特に皆さんは、『研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし』を意識してほしい」

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