ライフ

藝大卒DJ 保育園に続き「ティーンのパーティ」を始める理由

ラーメン屋を会場としたブロックパーティでDJをつとめるアボさん

 幼稚園・保育園で子ども向けのDJ活動を10年以上続けているアボカズヒロ氏が、新しいチャレンジを始めた。高校生以下の十代の少年少女が主催するパーティならば、足代だけでDJをするというのだ。初めて幼稚園・保育園DJを始めたときに楽しんだ子供たちは、ちょうど高校生になった。「新しいライフワークになりそうな予感がしている」というアボ氏に、その新キャンペーン、みずからの少年時代、ティーンとともに体験したいことについて訊いた。

 * * *
──「ティーンのパーティは足代だけでするよキャンペーン」を始めたことには、どんなきっかけがあったのでしょうか?

アボカズヒロ(以下、アボ):毎月、埼玉の商店街のラーメン屋さんで「ブロックパーティ」を開いているのですが、去年、そこに地元の男子高校生3人組がやってきました。彼らが持っているエネルギーやパッションを、何かの表現として実るような手伝いをしたいなと思ったことが始まりです。

──そんなに印象的な男子高校生だったのでしょうか?

アボ:彼らは「クラスで誰とも話が合わない、ダブステップ聴いている人すらいない」から仲間がほかにいないという。でも、すごく音楽が好きで、海外の有名DJスクリレックスが来日したときなんて、InstagramやTwitterの自撮り写真から場所を割り出して埼玉の奥地から渋谷まで行って、ツーショット写真を撮ってきたというんです。その、彼らのエネルギーにすごく感動したんですよ。

──その行動力は、何かを生み出しそうな予感がしますね。ところで、「ブロックパーティ」というのは、高校生も気軽に加われるものなのですか?

アボ:出入り自由で参加できるパーティです。日本の日常には、誰でも好きなように参加できる開かれたパーティが少ないと感じていたので、そういう場所をつくろうと去年の2月から1か月に一度、商店街で「ブロックパーティ」をしています。ヒップホップ文化というのは、クラブやディスコといった場所だけではなく、路上や街角からも様々なものを生み出してきました。そのひとつに、路上などでパーティをする「ブロックパーティ」があります。

──そのパーティでは、やはり皆さんは踊っているのですか?

アボ:何をしていてもいいんです。子供からお年寄りまでいろいろな年代の人がいて、音楽を聴きながらお喋りしたり、ずっと工作をしている子供や、楽しくて興奮すると叫ぶ癖がある子供もいます。ほかの場所だと出ていくように言われることもあるそうですが、ブロックパーティでは、他のお客さんもその子供を受け入れています。パーティとは、多様性を認めた自由な場、開かれた場です。もちろん、運営に弊害が出るようなことがあれば、一生懸命話し合って妥協点をみつけるので無法地帯ではありません。でも、場の空気を読むことを求められる作法に支配されない、自由に過ごせる場です。

──DJがいるパーティときくと、お酒を飲みながら一斉に皆で踊って、歓声をあげているイメージが強いですね。

アボ:クラブでのパーティときくと享楽的に騒ぐイメージが強いかもしれないですが、もともとは文化的なサロンとして、社会からはみ出しがちなマイノリティの受け皿になったり、都市の福祉的な側面も担っていました。異なる文化と人間をつなぐハブのような存在だったんです。様々な生きづらさを抱えた人たちが、許容されて、評価してもらえるのがクラブカルチャーのよいところでした。僕も、そうやって救われたひとりでした。

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト