──多様性を認めるからこそ踊らなくてもいい、何をしてもよいパーティなんですね。
アボ:少なくとも、僕の現場に関してはマジョリティというものは存在しません。全部がマイノリティとしていられます。パーティだけど、みんなが盛り上がってほしいというより、思い思いの受け取り方をして、ひとりひとりが異なった輝きでフロアを彩ってほしいんです。
──アボさんが十代の頃は、ブロックパーティにあたるような場所はどこでしたか?
アボ:高校生の頃はレコード屋に入り浸っていました。「親方」と呼ばれる名物店員さんがいたそのレコード店では、明らかに学校をサボってやって来る僕を受け入れてくれました。店頭に置いていないレコードをかけて知らない音楽を教えてくれたり、出前をとってくれて一緒にラーメンを食べたり。このとき大人にしてもらったように、今度は自分が十代の手助けをする「アニキ」の役割を果たすときがきたんですね。30歳を過ぎて、お鉢が回ってきたなと感じています。
──十代の若い人が聴く音楽というと、ビートが強い激しいものを想像しがちです。
アボ:EDMでぶち上げる音楽というのは逆に、20代後半から30代前半の人が好んでいますね。今のティーンの間では、世界的にChillという概念が流行っています。ちょっと渋めの音楽を聴きながら、勉強したりリラックスして、自分を高めるんだという意識です。彼らの間では、YouTubeのチャンネルを流しっぱなしにして聴くライフスタイルが定着しています。たとえば「Chilled Cow」という人気チャンネルでは「to Study」や「to Relax」という言葉がタイトルに入った動画がたくさん発表されていて、再生数もとても多いです。