──Chillは辞書通りの意味だと寒さを意味しますが、スラングではゆったりと落ち着いた、というような意味なんですね。スマホとネットの美点を上手に使っている十代がいる一方で、風評に振り回されやすくなっている印象もあります。
アボ:今はSNSで簡単に批評にさらされるから、大人に褒められている同性代が目につきやすい。その様子をみて、褒められていない自分を過小評価してしまう。確かにインターネットに面白い子はいるけれど、インターネットの外側にも面白い子がいる。何も持っていないと思っている子ほど、何か持っています。「ティーンのパーティは足代だけでするよキャンペーン」では、いくらネットで検索しても出てこない、そういう十代に会えるかもしれないのが楽しみですね。
──それでも、何か目的がないとパーティは開けないと尻込みする人もいそうですね
アボ:僕はDJなのでDJのパーティにしないと、と思うかもしれませんが、そこにはこだわりません。パーティとは本来、様々なものを受け入れてくれる場なのですから。どうすればパーティが出来るかわからなかったら、そこから気長に話を聞きます。やるかやらないかで悩んでいるなら、「やる」を選ぶ背中を押す役目をしたい。やらない理由を探すのはすごく簡単です。でも、やった結果しか世の中には残らない。僕と何かをやるということは、「やる」力を高めるエクササイズになると思います。
──アボさん自身はティーンのパーティに関わることで、何を期待しているのでしょうか?
アボ:エネルギッシュでフレッシュな世代が、どんな面白いことにを発見しているのかを近くで見せてほしい。彼らの面白いことを求めるエネルギーがクリエイティブに向かえば、想像を超えた何かが始まると思います。僕はミュージシャンだし、DJというのは、どこかで率先して奇跡を起こしに行くようなところがあります。毎晩ミラクルというのがライフ、人生であり生活です。そのためには、アクションを起こし続けていないとならない。ティーンのパーティに関わることは、幼稚園・保育園DJと同じようにライフワークになりそうな予感がしています。そしていつか、「僕をDJで読んだことがある元ティーン」の横の繋がりも作って、そこから新しい物が生まれたら良いと思っています。
●あぼ・かずひろ/青森県八戸市生まれ。東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。1998年よりDJ/トラックメイカーとして活動を開始。学生時代に始めた幼稚園・保育園DJはライフワークとなっている。全国津々浦々のクラブはもちろん、村祭りや商店街、都内、地方など様々な場所でDJを続けている。サウンドクリエイターとしてもダンストラックのみならず、美術作品のための音響製作やファッションショーや映像作品のための音楽・音響制作も手がける。2013年からは、DJスクール「桜木DJアカデミー」を立ち上げ、DJ講師としても活動中。「ティーンのパーティは足代だけでするよキャンペーン」はhttps://twitter.com/abolabo/status/849557062619205632