ビジネス

プリウスPHV 仕立ては良いが宝の持ち腐れの懸念も

「特別」なプリウスが「普通」になる日が来るか

 世界で徐々に増殖しているプラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle=PHEV)。

 外部電源からの充電が可能な大型蓄電池を積み、ある程度の距離をエンジンを使わずに走行できる。その距離は純EVほど長くはないが、バッテリー残量が少なくなった後はハイブリッドカーとして走ることができるため、電池切れを心配する必要がないというメリットを持つ。

 内燃機関と大型電池の両方を必要とするためコストが高いことで、現状では自動車の全体需要に占める割合は微々たるものだが、世界で強まるCO2規制をクリアするための飛び道具として使えると判断したメーカーが、こぞってPHEVを投入。ダイムラー、フォルクスワーゲン、BMW、アウディ、GM、ボルボ、フォード等々、プレーヤーは枚挙にいとまがない。

 今年2月、トヨタ自動車がそのPHEV界に“大物新人”を投入した。新型「プリウスPHV」である。PHVとはPHEVのトヨタ流の呼び名。実はこのモデルは2代目で、初代は2012年1月に発売された。

 その初代は車両価格が高く、EVとしての航続距離は実走行でせいぜい20km程度とはなはだ短かったため、「普通のプリウスの1割くらいは売りたい」という開発者の意気込みとは裏腹に販売は低迷。クルマに関心を持つ層以外はその存在すらほとんど知ることがなかったという失態を演じた。

 その初代を尻目に、ライバルメーカーはPHEVを次々に投入してきた。これは何もPHEVが売れるからというわけではなく、環境規制に対応するための苦肉の策。販売台数も自動車市場のメインストリームと呼ぶにはほど遠いレベルで、販売が伸びている国も手厚い補助金で下駄を履かせているだけだ。

 が、対立構図を作るのが好きな多くのマスメディアは、「欧米勢がPHEVで攻勢をかけてきた」とはやしたて、トヨタはその波に乗り遅れたとたびたび揶揄された。これはハイブリッド技術のトップランナーを自負するトヨタにとっては我慢ならないこと。2月に発売した第2世代のプリウスPHVは、連続三振は許されないという緊張感の中で生み出された。

 筆者は4月中旬、そのプリウスPHVで650kmほど甲信越および東海地方をツーリングしてみた。プリウスPHVは2015年末に登場した現行プリウスをベースに作られている。ゆえに、「充電可能というところを除けばプリウスと似たり寄ったりだろう」程度に考えていたのだが、実車のクルマとしての良さは、その予想をはるかに上回っていた。

関連記事

トピックス

2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
中途採用応募者が急に増えて担当者は困惑(写真提供/イメージマート)
《SNSの偽情報で実害》中途採用に「条件満たさない」応募者が激増した企業、勝手にFラン認定された大学は「少子化の中、学生に来てもらう努力を踏み躙られた」
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
横浜DeNA・藤浪晋太郎を大事な局面で起用する三浦大輔監督のしたたかな戦略 相手ファンからブーイングを受ける“ヒール”がCSの行方を左右する
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン