金融庁が神経を尖らせているのは、単に“手数料の高い商品が売れている”のではなく、“銀行や証券会社が高い商品ばかり売ろうとしている”という疑念が拭えないからだという。

「日本の金融機関は投信について“売った時に儲ける”という意識です。だから顧客が購入して3か月も経つと、新しい商品の営業を始める。一方の米国では、顧客の保有残高に応じて年間の手数料が決まる。販売手数料で稼ぐのではなく、“長期保有してもらい儲ける”という形態です」(浪川氏)

 そうした背景もあり、日米間で5倍もの手数料格差が生まれている。結果、米国での売れ筋投信の上位には株式指数などに連動するインデックス型が並び、日本の上位にはファンドマネージャーが投資先を選定するアクティブ型が並ぶ。信託報酬は前者が安く、後者が高い。

 近年は投信以外に外貨建て一時払い保険なども積極的に販売されているが、その手数料は金融庁の資料(販売手数料調査。「金融レポート」2016年9月)によると平均で6.8%。「初年度でこれだけのコストを取り戻せる可能性は極めて低い」(浪川氏)のだ。

 手数料に関して、メガバンク3行に聞くと、「お客様に販売手数料をご理解いただいた上で販売している」(三井住友銀行)、「適切な手数料設定だと考えている」(みずほFG)、「運用ニーズに沿った商品を複数提案している」(三菱東京UFJ銀行)と答えた。勧められるがままに購入すべきか、一考が必要だ。

※週刊ポスト2017年5月19日号

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