ライフ

医療費削減の切り札、薬剤師による薬箱の選抜メンバー

3人の薬剤師が教える“最強の薬箱”

 最近の調査によると、1人当たり、1年で、医者にかかる回数は約12回、かかる医療費は30万円以上といわれている。「必要経費」とはわかっているものの、家計を逼迫させることには変わりない…だったら、病気にきちんと備えて、通院回数を減らしませんか。

 薬剤師の資格を持つ阿部絢子さんは「なるべく医者にかからないようにすれば、医療費が削減できます」と言う。

「そのためにも、まずは自分で治すための備えをしておく。薬箱を用意しておくだけで、健康管理のしやすさが格段に変わります」(阿部さん)

 それでは、薬箱に何を入れたらいいのか? 『市販薬は成分表示だけ見ればいい』を監修した薬剤師の増田光徳さんは、こうアドバイスする。

「単身なのか、小さい子供がいるのかなどの家族構成で常備薬は変わりますが、基本的には、風邪薬・鼻炎薬・胃腸薬・便秘薬・鎮痛剤・絆創膏などを中心に薬箱を作りましょう」

 さて、写真をご覧いただきたい。これは薬剤師が作ってくれた“頼りになる薬箱”。そう、いわば最強の薬箱ともいえる。なぜこれなのか…以下、解説していく。

◆風邪薬

「万病のもと」といわれる風邪の薬(総合感冒薬)を常備するなら、鼻水や咳など、あらゆる症状に対応できるものがよい。

『その薬があなたを殺す!』の著者で薬剤師の小谷寿美子さんは「『ルルアタックEX』が最強」と自信満々。

「『イブプロフェン』という鎮痛成分や、のどの腫れに効く『トラネキサム酸』など、病院で出される薬とほぼ同じ成分で構成されているので、効果絶大です」(小谷さん)

 しかし『ルルアタックEX』の服用年齢は15才から。

「子供もいる場合は、安全性の高い『アセトアミノフェン』という成分が入っている薬がおすすめです」(増田さん)

◆鼻炎薬

 黄砂や花粉がまだまだ多い5月、鼻炎薬は欠かせない。

「ポイントは、眠気が出ても大丈夫かどうか。『クロルフェニラミンマレイン酸塩』という成分は『抗ヒスタミン薬』として優秀で、目の炎症などのアレルギー症状を抑えますが、眠気を誘発します。眠気があっていいなら、『新コンタック600プラス』がおすすめです」(小谷さん)

 眠くなっては困る人は、『アレグラFX』がいいと増田さん。

「眠気を招きにくく、集中力が低下しにくいので、仕事中や運転中でも安心して服用できます。物足りなければ、併せて目薬をさすのもいいですね」

◆胃腸薬

 基本的に、消化不良に効くタイプと胃痛に効くタイプがある。

「消化不良には『リパーゼ』や『ジアスメンSS』という成分、胃痛には『スクラルファート』という成分が有効です。これらを兼ね備え、さらに腹部膨満感もとってくれる薬が、『イノセアプラス錠』。私も愛用しています」(増田さん)

 小谷さんは、「家族用なら『大正漢方胃腸薬』がひとつあればOK」と続ける。漢方の成分が胃の動きを活発にしてくれるうえ、痛みにも対応できるからだという。

◆便秘薬

 胃腸薬と並んで準備しておきたいのが便秘薬。選ぶポイントは、初めから強いものにしないこと。

「いきなり強いものを使うと、その効果に慣れてしまい、大腸の動きが鈍くなります」(小谷さん)

 効果が比較的穏やかなのは『ビオフェルミン便秘薬』。「ただし家族で使うならば『コーラックファースト』もおすすめ。用量が1~4粒と幅があるため、年齢や便秘の度合によって、錠数を調整できます」(増田さん)

 便秘薬は、一緒に下痢止めを用意しておくのが得策。

「下痢をするとつらくて動けなくなるので、緊急時に備えたいですね。とにかく急を要するのだから、水なしで服用可能なタイプが良いでしょう」(小谷さん)

◆鎮痛剤

 頭痛や生理痛など、痛みを和らげてくれる薬も一家に1つは欲しいところだ。

「『イブプロフェン』配合タイプか、『ロキソプロフェン』配合タイプかの2択が主流。ひとまずは『イブプロフェン』配合のお薬をおすすめします。『イブクイック頭痛薬』などは胃酸を抑える成分を配合し、効き始めも早いです。痛みが強い時だけ後者のタイプの『ロキソニンS』などを。いずれも熱の時にも使えます」(増田さん)

◆絆創膏類

「絆創膏は2種類あるといいですね」と増田さん。

「絆創膏や軟膏があると、ちょっとした傷などに対応できます。深い傷の場合は『キズパワーパッド』や『ケアリーヴ治す力』のように、傷の治りが早くなるタイプのものを。痛みも軽減できます。ただし、価格が高めなので、小さな傷には安価な絆創膏にするなど、使い分けるといいでしょう。軟膏は、『吉草酢酸プレドニゾロン』などを配合しているタイプを選べば、急なかぶれ、虫刺され、強いかゆみや炎症を抑えてくれます」(増田さん)

◆マスク、カイロ、冷却ジェルシート

 常備薬に加えて効果を発揮する。

「冷えからくる腹痛は、カイロなどで温めると治ることがあるので、薬をのむ前に試してみて。発熱には『冷えピタ』や『熱さまシート』があると心強いです」(阿部さん)

※女性セブン2017年5月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン