1961年1月にジョン・F・ケネディが大統領になると、軍部は軍事顧問団だけでなく正規兵をヴェトナムに送り込むよう執拗に要請した。しかし、ケネディはそれを蹴った。統合参謀本部も「軍を派遣すべき」と大統領に進言したが、ケネディは受け入れなかった。あくまでヴェトナムを政治的に解決したかったのである。
軍産複合体は、ケネディが大統領である間は本格的な戦争はできないと考えたはずだ。その結果、どうなったか。彼らは「ケネディを消す」という強硬手段に出た。そしてヴェトナム戦争は泥沼化し、5万5000人以上のアメリカ兵が犠牲になった。
軍産複合体は冷戦終結にともなって崩壊したが、目下、トランプ政権のもとでその姿を再び現しつつある。
シリアのアサドは「アメリカの攻撃はテロ組織を勢いづけるものだ。彼らの狙いは失敗に終わった」と語った。この発言で、アメリカの軍にとって再度ミサイルを撃ち込む口実ができた。
攻撃直後はアメリカの政府高官がロイターの取材に「一度限り」と語っていたが、すぐにトランプが「必要ならさらなる行動を取る」と表明した。武力を使いたい軍はトランプを自由自在に操っているのだ。シリアへの攻撃は、今後も続いていくだろう。
米軍はさらに、原子力空母のカール・ビンソンを朝鮮半島近海に向かわせた。金正恩に対する牽制と報じられているが、トランプが軍にコントロールされていると考えると、非常に危険な状況だ。