国内

「たばこ部会」が怒号飛び交う紛糾 誰がための対策か

法改正に黄信号の受動喫煙対策(5月15日/自民党厚労部会)

「せっかく禁煙派も分煙派も党内で努力して案をまとめようとしているのに、求心力どころか遠心力が働いている。このままでは法律なんて絶対にできっこないよ!」

 5月15日夕刻から開かれた自民党の厚生労働部会に出席した党幹部は、帰り際にこう吐き捨てた。

 この日、同部会では塩崎恭久・厚労大臣も出席し、今国会会期中の法案提出(健康増進法改正)を目指す受動喫煙防止対策の「厚労省案」と「自民党案」の妥協点が諮られ、いよいよ閣議にかける大詰めの段階に入ると見られていた。

 ところが、部会は始まるや否や、怒号が飛び交うほど紛糾。〈(飲食店など)一律規制は馴染まない〉〈分煙基準をもっとしっかり作るべき〉〈自民党案では妊娠中の女性など弱い立場の人は守れない〉といった意見が党内からも入り乱れ、収拾がつかない状況となった。

 対立の経緯はこうだ。厚労省は昨年10月、公共施設や学校などを敷地内もしくは建物内禁煙に、飲食店は喫煙室の設置以外は最大50万円という罰則付きで原則禁煙とする「屋内禁煙案」のたたき台を示した。

 その後、今年に入り店舗面積が30平方メートル以下のバー・スナックは、喫煙室の設置が難しいことや、非喫煙者や青少年などの利用が少ない業態のため、店内喫煙を認める例外ケースを検討していた。

 この厚労省案を巡って自民党内では、山東昭子氏を中心とする規制強化に基本賛成の議員連盟と、現状の分煙社会をもっと推進すべきとする野田毅氏が中心の規制反対派の議連の見解が噛みあわず、党としての統一したガイドラインが出せずにいた。

 しかし、最近になって自民党政調と禁煙派(受動喫煙対策派)と分煙派の幹部3者が会談。(1)「望まない受動喫煙」は防止する(2)飲食店は一括りとして扱う(3)表示義務を課す(4)面積基準を設ける──と大枠の方向性だけ定め、厚労省に折衷案をもちかける予定だった。それが冒頭の部会だ。

「残念ながら今日合意できたのは、とにかく話を前に進めようということだけ。塩崎大臣は『これからゆっくり議論を積み上げていけばいい』と言っていましたが、そもそも2019年のラグビーW杯、そして2020年の東京オリンピックに向けて受動喫煙対策を強化したいと法案提出を急いでいたのは大臣のほう。

 議論が振り出しに戻った今の状況では、オリンピックに間に合わないどころか、法律そのものもできずに現状を追認することになるだけ。『それでもいいんですか?』と大臣に詰め寄ったら、黙り込んでしまいました」

 厚労部会長の渡嘉敷奈緒美氏は、憔悴しきった表情でこう話した。

関連キーワード

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン