◆雇われ社長だよ!
権威あるポストがなぜ“火中の栗”となるのか。落語評論家の広瀬和生氏が解説する。
「芸協は公益社団法人であり会社とは違う。会長になったところで、収入が増えるわけではありません。『芸協らくごまつり』など協会主催のイベントには代表として必ず出席しなければならない上に、役員会や理事会など芸協のスケジュールに無償で縛られる。正直、割の良い仕事ではない」
売れっ子落語家は「名誉」より「実」ということなのか。そんな中、仰天プランが浮上している。三遊亭円楽(67)率いる「円楽一門」の芸協入りと円楽の会長就任だ。
先代・円楽の盟友だった歌丸は、先代が残した弟子たちに目をかけてきた。2011年に円楽一門が芸協入りを申し入れた際に歌丸は尽力するも、芸協内の猛反対で頓挫した経緯もある。
「芸協が苦境を迎えた今なら、実現しうる話ではないでしょうか。ライバル・落語協会には真打ちが200人いるが、芸協はその半分と大きく水を空けられている。円楽一門が合流することで、『層の薄さ』という弱点とともに、円楽を会長という大看板に据えることも可能となる」(前出・芸協関係者)
このプランについて、円楽に意見を聞くと、
「そんなの雇われ社長と一緒だよ! 頼まれても絶対にない! 順当に副会長の小遊三さんがなるべきだと思う。そもそも僕は“協会”とか言ってないで、東京落語界をひとつにすればいいと思う。そうすればもっと落語は魅力的になるはず」
という壮大な夢でトリを締めた。
※週刊ポスト2017年6月2日号