国内

「アルファ碁VS世界1位棋士」の囲碁最強決戦がもたらす意味

「AI対人間」の歴史に残る戦いが始まった──。Googleの 囲碁AI(人工知能)「アルファ碁」と世界ランクナンバーワン棋士・柯潔九段(中国)の三番勝負が、5月23日に中国浙江省烏鎮にて開幕した。賞金は150万ドル(約1億7000万円)、対局料は30万ドル(約3400万円)。破格の対局だ。

 第1局はアルファ碁が1目半の僅差でまず一勝をあげた。僅差といっても、アルファ碁は優勢を築いてから万全の態勢で勝ちきった。柯傑九段の勝つチャンスが見いだせないほど、完勝との評判だった。

 このまま人類はAIに屈してしまうのか?

 アルファ碁が、元世界チャンピオンの李セドル九段(韓国)に4勝1敗で勝ち、世界中に衝撃が走ったのが、昨年3月のことだ。その半年前にヨーロッパチャンピオンにアルファ碁が勝ったときからは、急速の進歩。趙治勲名誉名人は、「AIの6か月は、我々人類の600年に相当する」と驚いた。

 2016年~2017年にかけての年末年始、インターネットの対局サイトに「マスター」と名乗る謎の打ち手が現れ、世界各国のトップ棋士を相手に負け無しの60連勝をあげる。のちに「マスターはアルファ碁の進化版」との発表があり、アルファ碁がさらに強化されていることがわかった。

 AIが台頭したとき、将棋界と違って囲碁界は歓迎の意を示した。囲碁の世界がまた広がったと。ネガティブにとらえている棋士は見かけないのだ。

 AIは斬新な発想をする。今まで棋士が打ってこなかった手やむしろ悪いと思われていた手も打って形勢をリードする。新しい発想の手の意味までは、AIは説明してくれない(しゃべれないので、当然だ)。内容を理解しようと、棋士がこぞって、必死に研究しているのが現状だ。

 AIは棋士が進歩するきっかけになっており、すでに人間の打つ碁が明らかに変わってきている。

「近い未来、AIとだけ対戦して強くなる子どもも出てくるかもしれません」と日本の第一人者である井山裕太六冠はいう。

 アルファ碁と柯傑九段の第2、3局は、5月25日、27日に打たれる。年末年始にあったマスターのインターネット対局は、持ち時間が短いものだった。今回の三番勝負はひとり3時間(世界戦の標準持ち時間)。長い持ち時間は人間に有利に働く。さらに柯傑九段は、AI対策は十分してきたとコメントしている。柯傑九段の研究の成果と底力は功を奏すのか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居の恋人のMさん(2025年1月)
《ダンサー恋人が同棲状態で支える日々》中居正広、引退後の暮らし 明かしていた地元への思い、湘南エリアのマンションを購入か 
女性セブン
2018年のプロ入りから一貫して「PING」のクラブを使用していた渋野日向子(時事通信フォト)
渋野日向子、全英優勝も支えたクラブメーカーと“契約延長ナシ”のなぜ 女子トップ選手に増加する“クラブフリー”のメリット
週刊ポスト
プロハンドボールリーグ・リーグH(エイチ)で「アースフレンズBM東京」の選手兼監督を務める宮崎大輔(時事通信フォト)
《交際女性とのトラブル騒動から5年》ハンドボール元日本の宮崎大輔が「極秘再婚の意外なお相手」試合会場に同伴でチームをサポートする献身姿
NEWSポストセブン
2月5日、小島瑠璃子(31)が自身のインスタグラムを更新し、夫の死を伝えた(時事通信フォト)
小島瑠璃子(31)夫の訃報前に“母子2人きり帰省”の目撃談「ここ最近は赤ちゃんを連れて一人で…」「以前は夫婦揃って頻繁に帰省していた」
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(Xより)
《ジャスティン・ビーバー(30)衝撃の激変》「まるで40代」「彼からのSOSでは」“地獄の性的パーティー”で逮捕の大物プロデューサーが引き金か
NEWSポストセブン
2月4日、小島瑠璃子の夫で実業家の小島功太さんが自宅マンションの一室で亡くなった。
《実業家の夫が緊急搬送され死亡》小島瑠璃子、周囲に「芸能の仕事はしていない。いまは会社員として働いている」と説明していた 育児・夫・自分の仕事…抱えていた悩み
女性セブン
芸能界から引退を表明した中居正広
《中居正広引退騒動を過熱させたSNS社会》タレントたちの「中居さんはいい人」主張も誹謗中傷の材料に 加害者にならないためにどうすべきか
NEWSポストセブン
都内で映画の撮影に臨んでいた女優の天海祐希
天海祐希主演『緊急取調室』が10月クールに連ドラで復活 猿之助事件で公開延期になった映画版『THE FINAL』も再始動、水面下で再製作が進行
女性セブン
事故発生から1週間が経過した現在も救出活動が続いている(写真/共同通信社)
【八潮・道路陥没事故】74才トラック運転手の素顔は“孫家族と暮らす寡黙な仕事人”「2人のひ孫の手を引いてしょっちゅう散歩していました」幸せな大家族の無念
女性セブン
亀梨和也
亀梨和也がKAT-TUNを脱退へ 中丸と上田でグループ継続するか話し合い中、田中みな実との電撃婚の可能性も 
女性セブン
水原問題について語った井川氏
ギャンブルで106億円“溶かした”大王製紙前会長・井川意高が分析する水原一平被告(40)が囚われた“ひりひり感”「手をつけちゃいけないカネで賭けてからがスタート」【量刑言い渡し前の提言】
NEWSポストセブン
ボブスタイルにイメチェンされた佳子さま(時事通信フォト)
「ボブスタイルに大胆イメチェン」「ご両親との距離感」に垣間見える佳子さま(30)の“ストレスフリーな一人暮らし生活”
週刊ポスト